豊橋バイオマスソリューションズを技科大ベンチャー認定

2021/08/07 00:00(公開)
バイオマスを使った資源循環システム。今後は地域分散方の構築も目指す
 豊橋技術科学大学は、学内で起業した「豊橋バイオマスソリューションズ」を、4例目の大学発ベンチャーに認定した。家畜の糞尿などバイオマス資源をメタン発酵させ、ガス発電や液化肥料に転換する。小規模事業者でも取り組める持続可能な普及で、低炭素社会づくりへの貢献を目指す。先端農業・バイオリサーチセンターの熱田洋一客員准教授を社長に今年5月に設立した。
 メタン発酵に使うバイオマス資源は、畜産糞尿や食品工場から出る副産物を活用する。発酵施設で発生したバイオガスの発電や排熱利用、消化液のバイオ肥料化など循環型の仕組みをつくる。
 従来技術では扱えない原料や条件があり、土木工事を伴う大掛かりな施設が必要な点も普及を妨げていた。これらの課題を大学が持つ技術力と知見で解決した。
 微生物によるメタン発酵の阻害要因となるアンモニアを除去、回収するシステムを確立。家畜糞尿でも発酵が難しい鶏糞なども取り扱いができるようになった。複数社と共同開発で実証試験を準備している。
 発酵タンクも処理能力が1~2㌧程度の超小型化に成功した。土木工事が不要で、農家や中小事業所などでも設置しやすく汎用性を高めた。このほか、発酵助剤製造システムでより確実に食品副産物の活用が可能になった。いずれも共同開発で実用化も進んだ。
 今後は原料の分析や消化液の発酵状態確認などコンサルティングも手掛けていく。異業種の企業を含めた連携により、畜産農家への施設構築を支援することで、地域分散型の資源循環システムを構築したいという。
【加藤広宣】
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