県内観光は順調に推移 県推計、8~9月は混雑化か

2026/06/28 00:00(公開)
蒲郡市の潮干狩りは閲覧ページランキングで上位入りしている
蒲郡市の潮干狩りは閲覧ページランキングで上位入りしている

蒲郡・春日浦海岸の潮干狩りなど人気

 県はこのほど、2026年4月版の観光動向レポートを取りまとめた。ビッグデータを用いた宿泊者数の予測によれば、今年6月以降、海外からの宿泊客は前年を上回る水準で推移し、国内客についても8月以降は増加に転じると見込まれている。名古屋市内百貨店のインバウンド売上高と客単価も25年の水準を超えており、観光消費の回復傾向は鮮明だ。内閣府が提供する地域経済分析システムなどのデータ活用も進み、県内全体の旅行消費は堅調な足取りを見せている。

 県全体では、海外からの宿泊者は6月以降に増加する。また国内の宿泊者は7月までは前年並みで8月以降は増加に転じる見込み。このため、8~9月は宿泊施設が混み合いそうだ。

 東三河の観光も注目されている。県の公式観光サイトの今年3月の閲覧ページランキングでは、観光地・イベント部門の10位に蒲郡市の春日浦海岸の潮干狩りがランクインした。また、特集ページ部門でも「蒲郡市お出かけスポット10選&イベント情報」が8位に入った。

 インバウンド客からの問い合わせにも東三河への関心がはっきりと表れている。中部空港の観光案内所には、台湾の旅行客から「秋の旅行でレンタカーを利用し、蒲郡の竹島や西浦温泉、豊橋、豊川稲荷などを回りたい」との具体的な相談が寄せられた。県が推進する訪日外国人向け観光コンテンツの造成支援でも、豊川いなり寿司作り体験や、新城市の鳳来寺山ハイキングといった東三河ならではの体験型アクティビティーが海外の予約サイトで販売され、多言語でのプロモーションが展開されている。

 地域の魅力は自然や歴史にとどまらない。県が推進する発酵食文化の振興施策「あいち発酵食の館」の登録店には蒲郡市の「ホテル竹島」などが含まれ、食を通じた誘客も図られている。加えて、スポーツリゾート施設として東栄町の「B&G東栄海洋センター」が観光情報サイトで表示された回数ランキングで上位に入った。

 一方で、順調な回復を見せるインバウンド市場には大きな懸念材料も存在する。中国からの旅行客については、昨年11月に高市早苗首相が行ったいわゆる「台湾有事発言」を契機として激減している現状がある。かつては県内訪問客の上位を占めていた中国市場の急激な縮小は、今後の観光産業全体に少なからぬ影響を及ぼす情勢だ。

 県は現在、無料の多言語コールセンターの運用や多言語特設サイトの展開などを通じて、外国人旅行者の受け入れ環境の充実を急いでいる。東三河をはじめとする県内各地のローカルな魅力をいかに発信し、変化する国際情勢の波を乗り越えて新たな需要を取り込んでいくか。愛知の観光戦略は、真価が問われる局面を迎えている。

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山田一晶

1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。

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