奥三河を中心に活動する創作和太鼓集団「志多ら」の元舞台リーダー吉田章彦さんが、田原市福江町でオーダーメード家具製作「家具工房なないろ」を開き、活躍している。
　岐阜県出身。志多らの公演を見て和太鼓に興味を持ち、入団。和太鼓と尺八を担当し、２００５～21年の約17年間在団した。６年ほど舞台リーダーを務めた。
　在団最後の年、新型コロナウイルスで公演が全部流れたのを機会に将来を改めて考えた。公演の小道具などを自作する志多らでものづくりの楽しさを知った吉田さんは「今度はものづくりで人を楽しませたい、喜んでもらいたい」と考えた。
　退団後「人の手でしか表現できないものを作りたい」と岐阜県上松技術専門校の木材造形科で無垢（むく）材を使った手作り家具の技術を学び、卒業。妻の勤務先に合わせて福江町で昨年８月に工房を開いた。
　天然の木から切り出した一枚板である無垢材に、できるだけ釘やボルトなどを使わず組み木で仕上げていく。合板とは違って接着剤の寿命に影響されないため、メンテナンスすれば１００年以上使える。
　製作の際は依頼主の話を聞き、用途や寸法をはじめ、求めているものをくみ取る。家具の形状によって材質にも向き不向きがある。「その人のために、その人が使って違和感がないように、その人の生活に溶け込むように」と心がけている。
　小物から大型家具まで手広く引き受けるという。「二つと同じ出来にはならない一点もの、替わりが効かない一生ものの製作、承ります」と笑顔で語った。
　問い合わせは家具工房なないろ（０５３１・36・４０５６）へ。
【岸侑輝】