19日に開幕する第98回選抜高校野球大会に、昨秋の東海大会を制した中京大中京が出場する。新城市の中学硬式野球チーム「新城ベアーズ」出身の渡邉竜源選手と太田匠哉選手がベンチ入りする。チーム出身者は高校進学後に大きく成長を遂げることが多い。そこには指導歴50年の荒木晋二監督(79)の哲学と情熱があった。
荒木監督の根底にあるのは「いかに高校で才能を伸ばすか」という信念だ。私学強豪へ選手を送り出すだけでなく「自分たちのような受け皿がないと公立校の野球部が潰れてしまう」という危機感を持ち、10人いればそれぞれの居場所を作る指導を続けてきた。手法は独特で、投げ方の癖を直すために2年間シャドーピッチングのみを課すといった大胆な指導もあった。故障防止と技術習得のため、一貫して竹やコンポジット製のバットを使用する。芯を外すと飛ばないバットでの練習こそが、土台を育むのだ。
荒木監督は練習中はとにかく動く。技術指導は厳しく、移動もすべて小走りだ。主将は学年ごとに設け、週替わりで交代させる。練習で10㌔走るのは日常茶飯事だ。「高校で監督にかわいがられるように、まずは体力と心配り」との親心からだ。
3年生最後の予選以外は全員を試合に出場させる。実戦でのミスを通じて自らの実力を自覚させることが、努力につながると考えているからだ。「親への感謝を形にすべし」と経済的な理由から「丸刈り」を徹底し、遠征を控えて自前でグラウンドを整備することで、月会費を8500円程度に抑えている。
こうした環境で育った渡邉選手だが、中学2年の頃には重圧に悩み、母美紀さんの前で「野球を辞めたい」と涙を流した夜もあった。転機は、センバツ出場を果たした先輩の姿だった。渡邉選手は高校でのけがを乗り越え夢の舞台をつかんだ。美紀さんは「後輩に勇気を与えてほしい」とエールを送る。荒木監督も「甲子園は誰もがミスをする。恐れずにプレーしてほしい」と背中を押した。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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