名古屋市中区のドローンスクール「For Nature」はビル火災などが起きた際、ドローンから消火剤が入ったボールを投げて消火する全国唯一の装置を中部大学と共同開発した。2026年の実用化を目指し、実証実験に取り組んでいる。安田公也社長は「今後はドローンに関心がある新城市をはじめ、東三河地域でも実験していきたい」と話した。
スクールは17年に開校。民間資格や国家資格の取得に向けた指導をしている。18年、安田社長は防災に関する講演会で、阪神大震災での火災被害の大きさを聞いた。人口密集地の民家や高層ビルで安全に消火できる機械を作りたいと考えた。
同年、友人で中部大工学部機械工学科の高田一特任教授に相談し、連携して開発を始めた。出火時は上昇気流で火が舞い上がることに注目。火元の上空で消火剤を投下するより、投擲(とうてき)で消し止めるのが安全だと結論付けた。開発を続け、20年に投擲できる装置の特許を取得した。
23年、農業用ドローンに備え付けるローラー式の装置を開発した。防災協定を結んでいる東郷町の尾三消防本部の協力を得て、本部敷地で実験を続けた。今年7月、装置が5㍍しか投げられないことを受け、より長距離に投擲できるアーム式を作った。
雨風や強風にも強い産業用ドローンに搭載する。安田社長によると、最長20~30㍍先の目標に消火ボールを飛ばすことができる。機体を操縦する人と装置を取り扱う人に分かれて操作する。今後はAIを活用し、自動化を目指す。
18日、尾三消防本部でアーム式の実証実験をした。2階建ての民家とビルから出火したという想定。風は強かったが、安全に飛行させ5㍍先から消火ボールを火元に投げ入れた。熱でボールが破裂すると、入っていた消火剤が周辺の火を消した。
機体を操縦した豊橋市の会社経営者の加藤光造さんは「いろいろな課題はあるが、未来と価値のある取り組みだと思っている」と話した。安田社長は「実用化に向けて一歩前進した」と述べた。
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愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。
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