商業高校の減少に歯止めがかからない。少子化や大学進学の一般化などが理由だ。こうした中、県立豊橋商業高校は、中学3年生を対象にした県の進路希望調査で、定員240人に対し527人の応募があった(倍率2・2倍)。県内の商業高校のなかでは最も高い。商業高校にある「家業を継がせる」「高卒で事務職への早道」という昭和の既成概念や偏見を打ち破る取り組みが奏功している。
「若者向けのSNSのTikTokを授業で運用し、再生回数は81万回。地元のFMラジオ放送局で番組を持ち、放送内容からスポンサー集めまで生徒たちが授業として行っています。教室では感じることができない学びが、豊橋商業にはあります」。今月10日、間瀬泰宏校長の説明にうなずきながらメモを取るのは、福井商業高校の教員視察団だ。豊橋商業は、このようなほかの他府県の商業高校からの視察が後を絶たない。
昨年度の商業科の数は全国で582。半世紀で半減している。県は53の商業高校で1万5000人余が学んでいて、埼玉県、東京都を抑えて全国でも圧倒的な数を誇る。その中でも豊橋商業はもっとも高い志望倍率となった。
間瀬校長は、県による2020年の県立高校再編将来構想が改革の大きな後押しになったと指摘する。「『中学生が学びたいと思える学校づくりを進める』と、構想の冒頭にあります。SNSの外部への発信や公共の電波を使ってのラジオ番組の放送などリスクと責任は伴いますが、生徒の自主性を尊重する環境を整えました。その結果、こちらが想像もしなかったアイデアや責任感が芽生えました。生徒たちは責任に裏付けられた『楽しさ』を味わっているようでした」
間瀬校長は「豊橋商業は、企業に入って即戦力の人材を輩出すること、学びの中でさらに深掘りしたいと大学などへ送り出すことは、達成できつつありあす。そして今後の大きな目標としては、高校在学中にスタートアップ、起業をする生徒を輩出することです。現実社会に近いリアリティーのある世界を校内に作るためには、不要な規制や慣習を生徒たちと打ち破っていかなければなりません」と熱く語った。
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鎌倉市出身の45歳で四人の子育て真っ最中。NHK記者として11年仕事をしてきた。その後、豊橋に住んで今年で10年目。東三河地域でいまだ日の目を見ぬ素晴らしい取り組みをしている企業に東愛知新聞で光を当てることができるよう取材している。趣味はサッカーと筋トレ。
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