サッカーの試合中に、選手がミスをしたとき、その反応には大きな違いが現れる。ある選手は罵声を浴びせ、ある選手は何も言わずに無視し、またある選手は慰めの言葉をかける。この三つの反応を見て、どれが「正解」なのかと問われると、実はどれも正解であり、どれも間違いだと言える。

　サッカーにおいて、性格が悪いやつと良いやつの違いは「生産性」にどれだけ貢献できるかだと私は考えている。例えば、味方選手がミスをした時、罵声を浴びせる選手がいるとする。この反応は一見、厳しく感じるが、その選手が根本的に自分の感情をコントロールできない可能性とそれでチームが活気づくと信じている可能性がある。一方、何も言わない選手は、そっとしてあげる優しさである可能性とミスをした選手と向き合うことから逃げている可能性がある。このように、さまざまな可能性がある。

　では、どの反応が最も「生産的」なのだろうか？　実は、答えはその時々の状況や選手、チームの雰囲気に大きく依存する。ミスをした選手がどれだけ強い精神力を持っているか、どんなタイプの選手かによって、最適な反応は異なる。ある選手には厳しく言うことで気持ちを引き締められるかもしれないし、別の選手には慰めが必要かもしれない。大事なのは「その場で何を言うか」だけでなく「どう言うか」、そして「その選手にとって何が最も効果的か」を見極めることだ。

　サッカーの中で性格が悪い、良いという評価は、一つの反応にとらわれることが多々ある。しかし、どれだけ「生産性を上げるか」、つまりチームのパフォーマンスを高めるためにどれだけ効果的に作用するかが最も重要だ。そのためには、チームや個々の選手に合わせた言葉や行動を取る柔軟さが求められる。

　結局、サッカーにおける「性格の良さ」とは、相手を思いやることや、自分の行動がチームの生産性をどう高めるかを考える姿勢にほかならない。その時々で最適な方法で、状況に対応できるかどうかが、本当の意味での「良い性格」を作るのだ。