間もなく夏の甲子園の県予選が始まる。甲子園を目指す東三河の注目選手を取り上げる。
主戦の中西浩平選手(3年)は、春の東海大会では2戦で5回8失点。夏の県大会に向け心配されるが「調子は上向き」と自信を見せる。転向後わずか2年でプロ注目の投手に成長し、進化を続ける中西投手に聞いた。
中学時代は遊撃手。長谷川裕記監督が別の選手の視察に行った際に目に留まり「あの子は良い投げ方するな」と一目ぼれ。スカウトした。「リリースするタイミングの指先の感覚が良い。ボールのラインが見えるというか。足が長いし、将来良い投手になるぞと思った」と回想する。
入学当初はピッチングに面白さを感じていなかった。「打撃が得意だったし、遊撃手やりたいなとずっと思いながらプレーしていた」。支えになったのが、ライバル平野将馬選手の存在だ。平野選手も高校から投手に転向した苦労人。2023年秋以降はエースの座を争い「平野がいるからここまで頑張れた」と感謝する。
1年秋には2人ともベンチ入り。だが、全国の舞台は甘くはなかった。11月の明治神宮大会の星稜(石川)戦で先発登板し、2回もたず7失点、24年春のセンバツ大会の阿南光(徳島)戦では5失点と試合をつくれなかった。「どこを投げても打たれる。今のままじゃ駄目だ」
そこから「目の色が変わった」と長谷川監督。まず見直したのがキャッチボールだ。社会人や大学野球の強豪チームを見学し、リリースする時の肩の動きなどを見直した。「ボールをリリースの時に強くたたき、下半身から主導して上半身がついていくイメージ」を体に染み込ませた。さらに体づくりの重要性に気づき、ウエートトレーニングを採り入れ、食事量を見直した。梅澤五郎さんの指導のもと、ベンチプレスやスクワットなどを繰り返し、入学時より体重が10㌔以上、球速は20㌔近く伸びた。手応えをつかんだのが3月の滋賀学園との練習試合。6回無失点で7奪三振。「ボールでも打者が反応してくれた」と好感触を得た。
春の県大会と東海大会ではスランプに陥った。理由がある。この期間、曲がりの大きなスライダーに挑戦していた。打者の芯を外す130㌔台の曲がりの小さなスライダーと、空振りを奪う130㌔台後半のスプリットが武器だが、横の変化を増やしていきたいと新球種を取り入れた。「早く体が開き、肘が下がってしまった」と制球力に苦しんだ。長谷川監督は「前向きな姿勢は良いし、すぐできてしまうのが中西の良さだが、しっかり準備して自分に合ったものを身につけよう」と声を掛け、現在は本来の投球スタイルを磨いている。県大会に向け、中西選手は「変化球投手だと思っていが、夏は真っすぐで押していく」と意気込んだ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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