【高校野球愛知大会】豊橋中央が初の甲子園へ 市内では豊橋商以来74年ぶり

2025/07/27 21:36(公開)
優勝を決め、マウンドに駆け寄る豊橋中央ナイン=岡崎レッドダイヤモンドスタジアムで

 「第107回全国高校野球選手権愛知大会」は27日、岡崎レッドダイヤモンドスタジアムで決勝があった。創部以来初の決勝進出を果たした豊橋中央は東邦と対戦。延長戦に突入する激闘の結果、6対5で勝利した。8月5日に開幕する夏の甲子園に出場する。豊橋市内の高校が夏の甲子園に出場するのは1951年の豊橋商業以来74年ぶりの快挙。東三河勢としても1975年の国府以来50年ぶり。

延長十一回無死満塁、中前2点適時打を放つ松井

激闘延長11回、東邦に6-5

 

 東邦に先制された豊橋中央は三回2死二、三塁から敵失の間に2人がかえり逆転。五回は2死から右越え二塁打を放った成瀬を、続く花井が左中間二塁打でかえした。その後は両者無得点が続いたが九回2死二、三塁で失策が出て2点を奪われ延長戦に突入した。タイブレーク方式の十回は両者無得点。豊橋中央は十一回、先頭の砂田が四球を選び無死満塁。続く松井が5球目、ヒットエンドランから打球を中前に運び2点。さらに重盗が決まって砂田が生還、決勝点となった。その裏、適時二塁打で1点差に迫られたが、先発髙橋が最後の打者を右飛に打ち取った。149球の熱投だった。

2点適時打を放った松井がガッツポーズ

試合後の談話

 

萩本将光監督

 最後まで諦めなければ、お天道さまが味方してくれると選手に言い続けてきた。タイブレークのホームスチールは私が出したサインで、勝敗の責任は私が取るとの気持ちだった。甲子園では初心に戻り、泥だらけになって頑張る。

 

砂田隆晴主将

 萩本監督を愛知一の男にするぞとやってきた。踏ん張ってきた大喜地を楽にさせたいと、タイブレークに臨んだ。たくさんの応援があり、ここまで来ることができた。本当に勝ててよかった。

 

高橋大喜地投手

 萩本監督の「甲子園へ連れていく」という言葉を信じてやってきた。決勝での投球は、今までで一番楽しかった。甲子園では、自分も観客も楽しめる野球を見せたい。

 

髙橋投手、149球の熱投 夢舞台「全開で戦いたい」

 

 髙橋大喜地選手が11回149球を投げ切った。試合前に萩本将光監督に「十八回まで行きますよ」と宣言し、マウンドに向かった。初回に1死二塁から適時二塁打で1点を先制されたが、その後は最速144㌔の直球とスライダーが冴え、東邦打線を無失点に抑えた。

 

 だが2点リードして迎えた九回、先頭打者を空振り三振に打ち取ってあとアウト二つから連打を浴び1死一、二塁。ゴロを打たせ併殺でゲームセットかと思われたが失策が出て同点に。その後も、髙橋選手は「しょうがない」と気持ちを落ち着かせ腕を振り続けた。

 

 十回は圧巻だった。無死一、二塁から自慢の直球を投げ込み、三者凡退。味方の攻撃につなげた。十一回、無死満塁で幼ななじみの松井蓮太朗選手。「その分ここで打ってくれよ」と願った。低めのカーブを中前に運ぶと、東邦を引き離す2点適時打が出た。

 

 その裏は「いつも通りの投球を」と最後の打者を直球で右飛に抑えゲームセット。髙橋選手と松井選手は抱き合って喜んだ。いよいよ甲子園。「全開で戦いたい」と意気込んだ。

熱投する髙橋

歴史的勝利に導いた総勢300人の応援団

 

 三塁側スタンドを埋め尽くした豊橋中央の応援団は総勢300人。応援歌を歌い、選手の名前を叫び、熱い声援を送った。応援団長で野球部員の高橋大翔さん(3年)は、主戦の髙橋大喜地選手の父からもらった赤いタオルを首に掛け、声を枯らした。6月の遠征で結果を残せずメンバー入りを逃したが砂田主将が「お前に応援は任せた」と頼んだ。「ブラスバンドはないので、声の大きさだけでは負けたくない」という団結力が歴史的勝利に導いた。

 

 大喜地選手の母朋子さん(46)は「力を出し切ってほしい」と祈るような姿勢で息子の力投を見ていた。

 

 中学生野球チーム「愛知豊橋ボーイズ」の選手40人が一塁側、三塁側に分かれて応援した。東邦にも出身選手がいたためだ。

 

 新鋭と伝統校の好カードに付近の駐車場はすべて満車で、渋滞も起きた。30度を超える暑さのなか、県高校野球連盟は、熱中症対策で観客に約2万本の飲料水を配った。県大会では初の試みで、一人の救急搬送者を出さないようにする趣旨だった。

 

三塁側に詰め掛けた豊橋中央の応援団

27日の試合結果

 

○…岡崎…○

豊橋中央

00201000003|6

10000001202|5

東邦

(延長十一回)

(豊)髙橋-松井(東)久田、運天、田村―中山

表彰式で優勝旗やトロフィー、メダルが選手に渡された
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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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