新城市出身の野球選手で「くふうハヤテベンチャーズ静岡」でプレーする元DeNAベイスターズの田中健二朗さん(35)が5日、静岡市内の本拠地「ちゅ~るスタジアム清水」で記者会見し、今季限りでの引退を表明した。生まれ育った新城市の関係者からはねぎらいの言葉が寄せられた。
ユニホーム姿で現れた田中さんは「つらいこともたくさんあったが、本当に幸せな野球人生だった」と晴れやかな表情で振り返った。今季は31登板で3勝3セーブ、防御率2・08の好成績を挙げたが、目標のNPB12球団のへの復帰はかなわなかった。「高校時代から応援してくれている静岡でユニホームを脱げるのは良い締めくくりだった」と語った。
父好正さん(65)には8月17日に「引退します」と電話があったという。「報道で知るよりは本人の口から聞けて気持ちが楽だった。お疲れさまという気持ち」と語った。思い出すのは、高校1年秋に発症した腰のけが。田中投手は半年近くリハビリに費やし「妻とありとあらゆる整形外科を探した。大好きな野球ができず、黙々と走る様子を見てきた。よく我慢したな」と振り返った。
小学校時代は、自宅横に手製のマウンドをつくって、田中投手が投げるボールを好正さんが捕った。その跡を見つめ「ここからプロ野球選手が生まれるとは。本人の努力のおかげで良い思いをさせてもらった。言葉には出せないけど、感謝感謝」と唇をかみしめた。
小学校時代に所属していた「山吉田少年野球クラブ」の小倉君夫元監督(73)は「夢を見させてもらった。健二朗ありがとう」と感謝した。「小学校5年の時に『甲子園絶対連れていくでね』とポロッと言ってくれたのが忘れられない。それをかなえて2007年のセンバツ優勝のメダルを持ってあいさつしに来てくれたのがうれしかった」と話した。
プロ入り後も年末年始には小倉夫妻を訪ね、少年野球の子どもたちらが参加する餅つきなどに参加した。静岡移籍後は、8月6日の同スタジアムでのヤクルトスワローズ戦を観戦。田中投手がチケットを買ってくれたという。チームは勝利し田中投手も登板した。「本当に優しい子で地元のことを常に気にかけてくれた。今後もできれば好きな野球に携わってくれたいいな」と話した。
中学時代の「新城ベアーズ」時代の恩師、荒木晋二監督は「ここまでやり切ったのは大したもの」とねぎらった。「最初に見たボールの切れや投げ方は他の子と違った。負けん気が強く投手向きの性格だった」と回想した。それは高校関係者に「一人で甲子園に連れていく力があるよ」と伝えたほど。「コツコツ取り組んだ結果がプロにつながったと」と褒めた。
引退試合は、27日に本拠地である広島東洋カープ戦が予定されている。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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