豊橋にも空き家問題の波 解決へ挑む事業者の参入増

2025/12/18 00:00(公開)
佐藤工務店で相談に応じる馬渡さん㊨と佐藤社長
佐藤工務店で相談に応じる馬渡さん㊨と佐藤社長

 人口減少と少子高齢化が進むなか、空き家問題が年々深刻化している。昨年、全国の空き家は900万戸に達し、30年前の約2倍となった。豊橋市内でも2015年時点で2万150件と、県内で名古屋市に次いで2位。空き家の放置は老朽化を招き、景観や防災、防犯面で悪影響を及ぼす。市は今年1月、空き家相談窓口を設けるなど対策を取っており、独自の発想で解決に挑む民間事業者も増えてきた。

 

相続からの住民放置に着目 佐藤工務店のFP’sカフェ「気軽に相談できる場所目指す」

 

 豊橋市を拠点に木造住宅の設計施工を手掛ける「佐藤工務店」は、2024年から不動産業を開始した。佐藤亮平社長は「年々増えていく使われない家や土地と向き合わなければ」と決断。同年からファイナンシャルプランナー(FP)で宅建士の馬渡初代さんを迎え、相続や金銭面の悩みに着目した「FP’sカフェ」を始めた。

 

 馬渡さんは「家や土地の所有者が死亡し、相続が発生したが、誰も住まないままになるケースが多く見受けられる。老後の資金、親の介護、実家の処分などの不安を気軽に話せる場をつくりたかった」と話す。介護や老後を紙芝居にした「終活紙芝居????」は好評だ。佐藤社長は「FP’sカフェは私たちが地域のニーズを把握したり、地域住民に佐藤工務店を知ってもらったりする第一歩。建築と不動産、FPの知見を組み合わせて提案をし、地域の声に応える相談所のような存在になりたい」と語った。

 

60歳以上対象の新たな金融商品「ゆとりあん」 サーラフィナンシャルサービス

 

 保険、金融商品を扱う「サーラフィナンシャルサービス」(豊橋市立花町)が昨年リリースした「ゆとりあん」が好評だ。60歳以上が自宅を担保に融資を受け、毎月利息のみを払い、死亡後に相続人が元本を返済する仕組み。返済は担保物件の売却で済ませられ、老後資金を確保しながら住み続けられる。

 

 例えば、築十数年の戸建てに暮らす60代夫婦は、給湯器故障を機にサービスを利用し、給湯器交換や外壁塗装を実施。月々の支払いは従来のローンの4分の1に抑えられ、「生活が楽になり、相続を家族で話すきっかけになった」と満足度は高い。

 

 グループ全体でガス供給からリフォーム、不動産流通までを担うが、山下孝社長は「『ゆとりあん』をきっかけに他のサービスに興味を持ってもらいたい。住まいを地域で循環させる仕組みをつくり、空き家を減らすことが街の更新につながる」と強調した。

 

「ゆとりあん」をPRする山下社長㊧ら
「ゆとりあん」をPRする山下社長㊧ら
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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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