豊橋の「にかけうどん」文化庁の100年フードに、東三河3例目 「当たり前の味が認められた」

2026/03/31 00:00(公開)
にかけうどんをPRする戸倉理事長=東京庵本店で
にかけうどんをPRする戸倉理事長=東京庵本店で

 豊橋市の郷土料理「にかけうどん」が、文化庁の推進する「100年フード」=ことば=に認定された。「伝統の100年フード部門~江戸時代から続く郷土の料理~」で、東三河では「豊橋ちくわ」「豊川いなり寿司」に続く3例目だ。市内のうどん・そば店50店舗で構成される豊橋麺類組合の戸倉信一郎理事長(54)は「当たり前にある地元の味が認められた」と喜びを語る。

 

 にかけうどんは、カツオとアジの魚介だしが利いた甘めのつゆと、もちもちとした自家製麺の上にかまぼこ、刻み油揚げ、ゆでた青味野菜、ふわふわの花かつおが載り、彩り豊かな見た目とともに非常に食べ応えがある一品だ。名前の由来については、熱いつゆをかける「煮かけ」や、具が多く荷をかけたような「荷かけ」など諸説ある。全国的な「素うどん」とは一線を画す豪華な盛り付けに加え、しょうゆの「赤」と白じょうゆの「白」という2種類のつゆを使い分ける文化は、この地域特有のものだ。三河地域は古来、小麦栽培が盛んで、明治期には自家栽培の小麦を「うどん券」と交換できる仕組みが存在したほど、うどん文化が生活に深く根付いている。

 

 1884年創業の老舗「東京庵」の5代目店主を務める戸倉理事長は、半年ほど前に新聞記事で募集を知り、「豊橋といえばにかけでしょ」と応募した。「正直に言えば『当然だろう』という気持ちもあるが、地域住民にとって、にかけうどんが自分たちのアイデンティティーを構成するものであると再認識してもらえるきっかけにしたい」と語る。

 

 豊橋を「讃岐」「稲庭」に次ぐ第三のうどんの街にしたいと掲げて2010年に誕生し、全国的な知名度を得た「豊橋カレーうどん」の普及で、豊橋のうどんに注目が集まっている。戸倉理事長は「その背景にあるより日常に根ざした『文化としてのうどん』も併せて推していきたい」と意気込む。大阪府育ちで前職は大学の教員職という異色の経歴を持つ戸倉理事長は、外部の視点を持っていたからこそ「こんないい文化があるのにもったいない」と感じてきた。自家製麺が当たり前で、当たり前のようにうどんとそばを同時に提供する豊橋独自の店舗形態も、他地域にはない強力な武器になると分析する。 

 

 今後の展望について、戸倉理事長は「うどんを食べに訪れる町となって、市や店が潤うようになってほしい。SNSを通じて若者世代へ『にかけ』を広めていく活動にも力を入れていきたい」と意欲を示した。

 

100年フード

 文化庁が2021年に第1回公募を始めた制度。「伝統の…」のほかに「近代の100年フード部門」「未来の100年フード部門」があり、全国で329件の食文化が登録された。従来は「重要無形文化財」などのハードルが高い保護制度があったが、それだけでは地域に密着した「日常の食」を守りきれないため、より幅広く地域の食文化を掘り起こし、民間団体や自治体が主体となって「100年続くように宣言」する仕組みがつくられた。

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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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