湖西市で産官連携による持続可能な窒素管理の実現に向けた調査・検証事業がスタート

2026/09/01 00:00(公開)
窒素回収・脱炭素利用技術の検証へ基本合意した=湖西市役所で
窒素回収・脱炭素利用技術の検証へ基本合意した=湖西市役所で

 湖西市で、産官連携による持続可能な窒素管理の実現に向けた技術などに関する調査・検証事業がスタートする。養豚施設などから排出される窒素を効率的に回収するとともに固体肥料などの資源として再利用する技術を検証し、循環モデルの構築を目指す。臭気に関する苦情低減など地域課題の解決にもつなげる。市は実証実験に向けたフィールド提供などに関して3者と基本合意を結んだ。関係者によると全国的にも珍しいという。

 

 締結したのは、コンサルタントなどを手掛けるエックス都市研究所(東京都豊島区)と国立研究開発法人「産業技術総合研究所(産総研)」(本部=千代田区、茨城県つくば市)、産総研で開発された技術を基にした吸着剤などを取り扱うナノブルー(中央区)。養豚業の盛んな湖西市で畜産関連施設やメタン発酵施設などを対象に進める。

 

 環境省が2024年に策定した行動計画を受けてエックス都市研究所は、臭気に関するモニタリング調査の結果などを確認。湖西市が家畜排せつ物の臭気問題を抱えることから聞き取りを進めてきた。養豚施設での排水のほか、既存のメタン発酵施設を含めて解決すべき地域課題を整理した。

 

 併せて、回収した窒素の利用可能性を含めて検討した結果、キャベツの作付面積など農業生産の状況にも着目し「(窒素の)回収だけでなく再利用するポテンシャルもある」(エックス都市研究所)と判断。実効性のある対策の検討・推進へ、窒素排出削減に向けた技術を持つ産総研とナノブルーとともに環境省の事業も活用して取り組みを進めることになった。

 

 具体的には3者が役割を分担して臨む。産総研は養豚施設の排水を対象にした窒素回収・脱炭素利用技術の開発・実証に取り組む。基本技術をベースに尿素や電気化学アンモニアの吸着材を使った排水からの回収状況を確認・検証するとともに場合によってはブラッシュアップする。併せて廃棄物焼却施設などで活用する脱硝材の可能性を探る。

 

 ナノブルーは、畜舎・堆肥化施設やメタン発酵施設を対象とした窒素回収・脱炭素利用技術の開発と実証を担当。アンモニア選択吸着剤を使って悪臭や排ガス、消化汚泥からのアンモニアを回収し固体肥料などを生産する。エックス都市研究所はこうした技術開発を踏まえて実装シナリオを作成し、湖西市での総合的な戦略をまとめたい考えだ。

 

 締結式は24日に開いた。田内浩之市長は「大きな課題で重要な施策を打っていかなければならない分野。蓄積した技術を湖西市にとどまらず静岡県、そして全国に横展開してもらいたい」などと期待を寄せた。3者を代表してエックス都市研究所の大野眞里代表取締役は畜産廃棄物を巡る課題についてこれまでの経験を振り返り「さまざまな基礎的な研究する機会をいただいたことに感謝する。成功できるように頑張りたい」などと述べた。

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