■「GX」というキーワード
脱炭素に関する法制を顧みると、気候変動対策の国際的な枠組みは、京都議定書を引き継いだパリ協定が中心となっている。パリ協定の締約国である日本は、その国内実現のため、地球温暖化対策推進法(1998年)の改正を重ねるとともに、気候変動適応法(2018年)を制定した。
東三河の自治体も21年以降、田原市、蒲郡市、豊橋市、豊川市、新城市が、順にゼロカーボンシティ宣言(2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明)をしている。
また、23年にはGX推進法とGX脱炭素電源法が制定され、25年には両法を具現化する地球温暖化対策計画とGX2040ビジョンが閣議決定されている。
GX(Green Transformation)は、脱炭素に経済成長とエネルギー安全保障を掛け合わせた取り組みであり、「化石燃料から再エネへの転換」や「環境の経済への一体化」を軸とする産業構造の転換を意味する。
■GXの中核
GXの中でも①排出量取引(今年本格稼働)と②化石燃料賦課金(28年始動)を基軸とする「成長志向型カーボン・プライシング」構想が特筆に値する。
①は、企業ごとに排出枠が割り当てられ、排出量が排出枠を下回れば余剰分を販売でき、排出枠を上回れば不足分を購入する制度をいう。
②は、化石燃料の輸入事業者などに対し、その二酸化炭素排出量に応じて賦課金を課し、その負担が電気代やガソリン代などを通じて企業や市民にも及ぶ仕組みを指す。
■排出量取引参加の意義
今年度から排出量取引への参加義務が課されているのは、直接排出量が年間10万㌧以上(直近3年度平均)の企業である。愛知県では、中部電力やトヨタ自動車、愛知製鋼など一部の企業は義務づけられるが、ほとんどの中小企業は任意参加となる。
任意参加であっても、参加することには多くの意義がある。まず①補助金や助言を受けられるうえ、努力により排出枠の余剰分を販売できる。また②積極的に取り組む企業は、投資対象としてだけでなく、取引相手としても魅力的に映る。
さらに③サプライチェーン企業の排出量調査が必要なトヨタ自動車などと取引のある企業は、間接的に排出量の管理が求められる。そうであれば、その管理の延長上にある排出量取引への参加のハードルは決して高くなく、一挙両得となろう。
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