企業バスに住民同乗、湖西市のBaaS事業がまもなく6年 朝の通学帯に対応難、若年層への広がりに課題

2026/08/23 00:00(公開)
課題が残るバース=湖西市内で
課題が残るバース=湖西市内で

 企業の送迎バスの空き時間や空席を生かし、地域住民が同乗できる湖西市の「企業シャトルBaaS(バース)事業」が、今年11月で開始から6年を迎える。最初は実証実験だったが、今年1月から通常運行がスタートした。利用者数の伸び悩みが課題で、市は周知活動の強化や利用のハードルを下げる工夫を進める。

 

 市にとって、免許返納後の高齢者の移動手段確保や、県境、市境付近の「交通空白」地域の解消が長年の課題だった。一方で市内には自動車関連産業など多くのメーカーが立地し、社員用の送迎バスが頻繁に運行している。情報技術で交通を効率化する「MaaS」にちなみ名付けられ、2020年度に実証実験が始まった。

 

 豊橋技術科学大学による利用調査や「モネテクノロジーズ」の予約システム活用、沿線店舗での特典展開など、産学官が連携して取り組んだ。デンソー湖西製作所など4社が協力し、25年度以降はデンソー(湖西、豊橋東)と浜名湖電装の2社体制となった。この間、豊橋市方面や市立湖西病院方面への路線延伸、運賃の値下げ(片道200円から100円へ)、増便などの見直しを重ねた。

 

 一般の延べ利用者数は20年度の計270人から、21年度に計494人、22年度に計490人と推移。23年度は計293人に落ち込んだが、24年度には予約不要化などで計505人(1運行日あたり5・15人)まで回復した。全車両への電動ステップ設置などを経て、今年1月14日からは平日往復1日7~10便の通常通年運行へ移行した。

 

 しかし、その後の2カ月半の利用者は計108人(1日あたり2・07人)と大幅に減少した。交通量が多く危険が伴うことから、主要地区の原町バス停の設置を見送ったことなどが理由とみられるが、乗車券販売実績は前年度並みを維持し、8月に原町バス停が再設置され増加傾向にあるという。

 

 利用者は豊橋市民が半数以上。原町など東部境接エリアの高齢者を中心に生活圏への移動手段として定着している。一方、朝の通勤帯は運行が午前8時半以降で若年層の通学ニーズには対応できず、一般層や若い世代への周知が課題だ。市は広報紙や地区会合での説明を強化し、コミュニティーバス回数券の利用や車内現金払いなどを取り入れ、利用者数を増やしたいとしている。

 

 担当の中村優さん(33)は「通年運行になったことを周知し、今後も新しい技術を取り入れながら地域の足として定着させたい」と話した。

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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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