豊橋技術科学大学の高山弘太郎教授(生物環境工学)らの研究グループは、日照不足や夏の酷暑の両方に対応可能な「ハイブリッド植物工場」を開発し、社会実装へ向けた実証実験を始めた。太陽光とLEDの人工光の長所を組み合わせ、年間を通じて生育に適した日照量を保つ。植物の生育に必要な光合成を随時計測する「SPA」と呼ばれる技術も併用する。機械学習でこれらの制御を最適化し、生産性と収益性を確保できる次世代型の施設園芸システム構築を目指す。
高山教授らのほか、光合成計測装置を製造するシンフォニアテクノロジー、同大学発ベンチャー「プラント・ケース」などが参加して制御システムを開発した。県の「あいち重点研究プロジェクト」に採択され、年度内に社会実装への方向性を定めたい考えだ。
キャンパスの一角に設けた実験用の「セミクローズド温室」でトマト栽培を通じて年度末まで実験する。その後は農家などへの社会実装へ向けた取り組みを始める。
温室全体の光合成量をリアルタイムに計測するシステムで、学習データに基づく最適なCO2濃度の制御手法確立も目指す。高温化しやすい夏の日は、光合成効率を落とさないよう遮光カーテンで太陽を遮り、不足した光はLEDで補う。
プロジェクトの背景には、気候変動への対応など施設園芸を取り巻く環境の急変がある。田原市や豊橋市は全国有数の施設園芸の産地だが、専従者の減少や猛暑が生産を不安定にしている。
一方、健康志向の高まりで葉物野菜など高付加価値作物の周年栽培へのニーズは増している。従来通りの農家の勘に頼った栽培法から脱し、効率化と省力化が可能なハイブリッド植物工場で持続可能な施設園芸につなげたい考えだ。
将来は太陽光採取、遮光とLEDの補光、CO2による光合成の作業について、AIの学習機能によって採算性を踏まえた自動制御ができるようにしたいという。
高山教授は「10㌃あたりの作物収穫量は通常25㌧だが、システム制御により50%増の37・5㌧が見込める。豊作時の収量を毎年安定して保つのが目標だ」と述べた。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。