1965年の創業以来、60年以上にわたり東三河などで親しまれてきた老舗あんかけスパゲッティ専門店「スパゲッ亭チャオ」が、伝統の味を守りつつ未来へつなぐ新たな厨房改革に乗り出した。店舗を運営する「大木家」は、調理ロボット開発「TechMagic(テックマジック)」(東京都江東区)が手掛けた炒め調理ロボット「I―Robo 2」を導入し「スパゲッ亭チャオ イオンモール豊川店」で10月1日から稼働を始めた。
「チャオスパ」の愛称で知られる名物メニューは、熱々の鉄板に乗せて提供される香ばしいあんかけスパゲッティだ。しかし、香ばしさと独特の食感を生み出す麺の炒め工程は、加熱温度や時間、鍋の振り方など熟練した調理技術と見極めを必要としていた。そのため調理の属人化が生じやすく、新人スタッフの育成に長い期間を要するほか、人手不足が深刻化する中で調理品質の均一化と「アツアツ」の提供温度の維持が課題となっていた。
こうした課題を解決するため導入された「I―Robo 2」は、加熱温度や時間、鍋の回転スピードや回転方向をメニューごとに柔軟かつ適切に調整し、職人の繊細な調理工程を自動で再現する最新鋭のロボットだ。職人や社長のこだわりをレシピとして登録することで、スタッフの習熟度にかかわらず常に均一な品質とアツアツの状態で提供することが可能となった。さらに、麺の炒め作業を自動化することで、スタッフは看板メニューの味の決め手「あんかけ」の調理や鉄板への盛り付け、客席での接客といったより付加価値の高いコア業務に注力できる環境が整った。
チャオスパ本部はスパゲッティメニューを中心とした運用を開始し、現場の習熟に合わせて対応レシピを順次拡充していく方針。大木家は今回のロボット導入を通じて調理現場の負担軽減と省人化を実現し、伝統の味とクオリティを維持しながら今後のさらなる店舗展開を目指す。
歴史ある名店が挑む「ロボットと人の協働」による持続可能な店舗運営は、飲食の現場に新たな可能性を切り開いている。老舗の味を支えてきた職人の炒め技をデジタル化して再現する取り組みは、外食産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の先行事例として大きな注目を集めそうだ。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。