ふるさとへの熱い思いが紡いだ歴史書「長篠の戦いの真影」が、風媒社から出版された。戦国の流れを変えたともいわれる歴史の転換点「長篠の戦い」に改めて焦点を当て、多角的にとらえた注目の書だ。
名古屋大学の工学部長や副総長を歴任した同大名誉教授で、大幸財団理事長を務める松下裕秀さん(名古屋市)を編集兼主任著者に、自営業の小栗健次さん(新城市)と元小学校長の原田克幸さん(同)の3人の共著。他にも歴史文化ガイドや武田勝頼が合戦時に本陣を敷いた医王寺の現住職などがコラム形式で文を寄せている。
著者3人はいずれも合戦場近くで生まれ育ち、教科書に必ず出てくるこの戦いについて、身近に感じながらも特別の思い入れを抱くほどではなかった。しかし昨年、長篠の戦いに際し、武田軍の猛攻から長篠城を死守した兵の一人で、郷土出身の小野田源右衛門が使用したとされる刀が発見され、松下さんが主導して有志から寄付を募り所有者から取得、長篠城址史跡保存館に寄贈・展示されて好評を得た。源右衛門の当時の動きを調べていく過程で、長篠の戦いについてより深く正しく探究する必要性を感じ、「長篠合戦の歴史を正しく学ぶ会」を発足させて松下さんが代表に就いた。
学ぶ会(読書会)には高校時代の同級生など9人が参加して歴史書や文献をもとに意見を交わし、時には現地へ足を運ぶなど情報を共有して知識を深め合った。会での学習成果は進展し、わずか1年で本の出版へと至った。歴史学とは無縁な人ばかりだが、探究心の高まりに加え、この一大合戦をできる限り忠実に調査、究明して現代に示し、後世に史実を継承することが生まれ育ったふるさとへの恩返しと考えた。
「長篠の戦いの真影」は6章からなり、戦の真の姿のあぶり出し、三英傑の足跡、合戦図屏風(びょうぶ)を題材にした解析、当時の地元有力国衆の動向、合戦場周辺に残る墓碑や鎮魂祭りについての探索など、興味深い構成と内容になっている。
先ごろ出版を記念し、著者をはじめ読書会の会員を中心に約10人が集まり、新城市内で懇親会を開いた。学習会での成果や出版までの経緯などを振り返った。松下さんは「今後も市内外の歴史愛好家に向けた発信を続け、史実を正しく伝えていきたい」と話した。
精文館書店や豊川堂をはじめ各書店で取り扱っている。A5判158㌻。1650円(税込み)。
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