「浜松三ヶ日・豊橋道路」実現へ前進、国が調査へ
地域発案の構想路線「浜松三ヶ日・豊橋道路」を、国が今年度調査に乗り出す。国土交通省中部地方整備局が3月31日に発表した「道路調査の見通し」の中で初めて示された。
同道路は、浜松市の東名高速道路三ヶ日ジャンクションと豊橋市の国道23号名豊道路を南北につなぎ、東三河、遠州両地域の新たな連携軸、南北軸とする。
今年度予算概要の中で、国交省は「重要港湾・生産拠点と高速道路のアクセス強化や静岡県・愛知県の連携強化の観点から、広域的な道路ネットワークとして求められる機能の検討を実施する」とした。
一方、東三河、遠州地域のさらなる連携強化などの観点から、広域的な道路ネットワークの具体化に向け、課題や整備効果を検討している「静岡・愛知県境道路に関する連絡会」(静岡、愛知両県、浜松市)もこのほど、浜松三ヶ日・豊橋道路の「計画具体化が必要」とし、機能の検討に着手する方針を打ち出した。
三遠地域は製造品や農産物の生産拠点が集積する上、三河港は日本を代表する自動車貿易港でありながら、全国と比べ高速道路へのアクセスが極めて劣っており、同連絡会は地域の経済成長への支障となることを懸念。浜松三ヶ日・豊橋道路の必要性を確認している。
同道路に関しては、三遠地域の経済団体、行政などでつくる建設促進期成同盟会が国や愛知・静岡県に早期実現の要望を重ねてきた。
整備に向け一歩前進し、今後は起点や終点、ルートなどが検討される。
新東名高速道路、国道23号名豊道路といった東西軸の整備が進む一方、東三河南部地域や静岡県湖西市にとっては広域幹線道路の南北軸がなく、高速道路にも遠いのは長年の懸案。
15年ほど前、田原市の個白井孝市元市長が「せめて東名三ヶ日と名豊道路を結ぶ道路ができれば」と言っていたのを思い出す。農業王国、観光地でもある同市は高速道路へのアクセスが悪く、その言葉に「なんとかしたい」との思いがにじんでいた。
現状のままでは、特に東三河南部地域、湖西市の“陸の孤島化”が進み、連絡会が懸念するよう経済成長に支障をきたす。県境を越え、国会議員、県議、行政、経済界が一体となり、実現に向けた一層の働き掛け、取り組みが不可欠だ。
(中村晋也)