高齢者ドライバーと安全㊤

2017/09/16 00:01(公開)
赤信号で横断歩道上で停車した高齢者運転の車。片方のブレーキランプが消えている
東三河の免許返納率は0・96%

 全国的に高齢者ドライバーによる事故が増えている。東三河でも警察や自治体が運転免許の自主返納を勧めているが、公共交通機関が乏しく、生活に影響をきたす意味で免許を手放せない人が多いのが実態だ。18日の「敬老の日」を前に、高齢者と交通安全にスポットを当てる。
 県警がまとめた東三河における免許の自主返納数は、今年6月末の暫定値で1270件。このうち65歳以上の返納率は0・96%となっている。これは西三河(0・94%)より若干高いものの、名古屋市(1・67%)や尾張(1・15%)、知多(1・05%)に比べれば低いのが現状だ。高齢化が進み、交通網が少なく、山間部や、都市部から離れた集落が多い地形が背景にあるとみられる。
 東三河の中でも5市3町村ごとにみた返納率で地域の特性が分かる。山間部が多い新城市(0・71%)や東栄町(0・82%)では低く、豊根村に至っては65歳以上の免許人口327人に対し、返納者は0人だ。
 一方、豊川市(1・13%)や設楽町(1・15%)、田原市(1・00%)に比べて、鉄道や路面電車、バスなど公共交通機関が比較的整備されている豊橋市では0・95%と低くなっている。
 返納率が高い豊川市では、昨年末に72歳の男性が運転する車が横断歩道を渡っていた87歳の女性をはねて死なせる事故が発生。今年4月には58歳の女性会社員が70歳の男性にひき逃げされ、死亡する事故が起きた。豊川市金屋西町の東三河運転免許センターでは、高齢者ドライバーによる事故の発生直後に返納する人が多い傾向にある。ニュースなどを見た家族から返納を勧められるケースも多いようだ。
 自動車学校は高齢者講習に力を入れる他、警察は地元の企業や店舗と協力し、免許の自主返納者にサービスを提供する取り組みも行っている。
(由本裕貴)
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