人や物 新たな流れを
新城市と北設楽郡3町村の奥三河地区は、次を見据えて歩み出した1年だった。4月には豊根村と東栄町境に国道151号太和金(たわがね)パイパスが開通、6月には設楽町で設楽ダム転流工着工式が行われ、本体工事本格化への第一歩となった。秋には新城市と設楽町で首長選が行われ、それぞれ現職が再選を果たした。
県が豊根村と東栄町境で整備していた国道151号太和金(たわがね)バイパス=延長960㍍=が4月23日、開通した。式典には大村秀章知事や地元国会議員、両町村の関係者ら150人が出席して待望の道路完成を祝った。新しいトンネルも設けられ、大型車両どうしの対面交通も可能となり、観光集客や流通面での利便向上に期待を寄せた。
バイパスは道路幅が狭い太和金トンネルを改良しようと県が2009年度から約35億円かけて整備。11年8月にはトンネル内で崩落事故があり、約6カ月間通行止めになる事態もあった。区間内に新太和金トンネル(長さ685㍍)を設け、大型車がすれ違うことができるよう幅員も確保した。
国交省が設楽町に建設を計画する設楽ダム事業で、本体工事前段階となる転流工の着工式が6月3日に同町で開かれた。国や同町、豊川(とよがわ)流域の市関係者らが出席し、くわ入れなどを行って工事の安全を祈願した。転流工は本体工事をするために川の水をう回させるトンネルで、完成後にはいよいよ工事が本格化する。
同省中部地方整備局設楽ダム工事事務所によると、転流工は全長560㍍で、2019年2月までに完成させる。工費は14億6000万円。
観光面では東栄町に4月、「観光まちづくり協会」が発足。観光案内やまちおこしの人材育成、「美」をテーマにしたファンデーションづくりや温泉入浴など町を訪れた人向けに体験プログラムを展開している。奥三河4市町村などでつくる奥三河観光協議会が5月12日、観光庁から「日本版DMO候補法人」として登録を受けた。着地型観光商品づくりで来訪者のリピーター獲得に努める。
10月には設楽町と新城市でそれぞれ任期満了に伴う首長選が行われた。15日は設楽町長選で現職横山光明氏(68)が3選した。横山氏は設楽ダム建設に関連した社会基盤整備の必要性を訴えて当選した。29日には新城市長選で現職穂積亮次氏(65)が4期連続で当選した。3期12年間の実績と雇用創出と地域自治を進めていく政策を掲げて新人2氏に勝利した。ともに人口減という課題があり、まちの魅力をどう高め、伝えていくのかがカギを握る。
(安藤聡)