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2018/02/26 00:00(公開)
2016年12月18日付の本紙紙面
地方創生担う自治体職員に期待

 東三河はもちろん、各地方で求められるまちおこしや地方創生―。市民団体や企業、時には子どもがその役割を担う主役となるが、やはり市民の税金で生活している自治体の職員こそが、その使命を背負っていると言っていい。
 ある休日の出来事。カップルが豊川市役所を訪れ、当直室に婚姻届を提出した。対応した日直の男性職員が「記念にお写真どうですか」と庁舎内に案内。豊川いなり寿司のイメージキャラクター・いなりんの像と一緒にハイ、チーズ。ささやかな思い出をつくる職員の粋な計らいだ。
 東三河のマスコットでは最も知名度・露出度の高い「いなりん」を筆頭に、特許庁の地域団体商標登録を果たした「豊川いなり寿司」、初詣でおなじみの豊川稲荷、各地に点在する桜の名所、特色豊かな祭りなど、豊川市の魅力は他市に負けていない。これらの“資源”を生かす企画も豊富で、斬新なものもある。少子高齢化社会で、東三河で唯一、豊川市の人口が増えたのも、それらの効果かもしれない。
 それだけに、豊川市政担当の記者としては残念なことがあった。一昨年、大ヒットアニメ映画「君の名は。」に登場するシーンが、豊川市御津町の三河湾周辺の景色を描いたという情報をつかみ、本紙1面記事で大々的に報じた。映画ファンが「聖地巡礼」の一環でここを訪れ、SNSにアップしている事実を紹介した。
 それから1年あまり経った昨年末、意外にも隣の豊橋市が「映画『君の名は。』に登場」の謳(うた)い文句で、映画の景色に映る高層ビル工場で一般向け見学会を開催した。この工場は豊川市御津町内に位置しており、豊川市からすれば“お株を奪われた”と言っていい。
 今月21日、市政方針演説を行った山脇実市長は「職員一人ひとりが創意工夫し気力を振り絞り、魅力あふれる豊川市を市民の皆さまと共に作り上げていく」と意気込んだ。職員が型にはまったマンネリズムでは何も生まれない。自発的で柔軟な創意工夫がまちづくりを進める。本紙はそのヒントを提供するマスコミとしての自負がある。
 単に流行にあやかればいいものではない。街に繰り出してキャラを捕獲するスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」が人気絶頂だった時、プレーヤーの殺到で困惑する市民や企業がいるにも関わらず、ブログで豊橋市内でのスポット情報を掲載した市議がいた。
 議員と違い、選挙で職を失うことのない自治体職員は、支持を伸ばそうと躍起になる必要はない。まちづくりに専念しやすい立場にある。行政を動かして新しい道路を生む議員も立派だが、休日の閑散とした市役所で小さな幸せを提供できる人材もまた素晴らしい。
(由本裕貴)
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