渥美半島とサーフィン④

2018/03/23 00:00(公開)
市庁舎に掲げられた「ISAワールドサーフィンゲームス」(世界サーフィン選手権)開催決定の横断幕=田原市役所で
サーフタウン構想に市民の声

 田原市の太平洋側海岸で9月に開催される世界最高峰の国際サーフィン競技大会「ISAワールドサーフィンゲームス」(WSG)。山下政良市長が2度目の挑戦で、国内では28年ぶり2度目となる開催と地元誘致に成功した。“サーフィンの五輪”と称され、サーフタウン構想実現に向けて追い風になるだけでなく、選手と観客ら大勢の来訪客が見込まれる。市にとっては、国内外に向けた絶好のアピールチャンスだ。計画上では、約50カ国から代表選手約300人が出場し、全体的な経済波及効果は数億円を推計する。

 ある市民は、サーフィンに地方創生の活路と可能性を見出し“渥美半島を元気に”と取り組む市長について「地元を積極的に盛り上げよう、元気にしようとする働きぶりを評価したい」と言う。また、別の市民は「地域の活性化につながるので、これからの展開に期待したい」という声も多く、期待感を寄せる。「サーフィン公害」の当時を知る市民は「サーファーは白い目で見られとったけど、時代は変わった。サーフィンが認められるようになってうれしいよ」と話す。
 構想は、サーファーの移住促進などによる地方創生を主眼とするが、市における政策としての歴史が浅いためか、市民への浸透率はいま一歩だ。
 市民の1人は構想の狙いに理解を示しつつも「どのような街づくりか分からない。地域の考えや思いはどこへ行くんだ」と話し、別の市民らは「具体的な全体像は示されていない気がする」「よく分からない。大半の人は内容を知らないと思うよ」と言う。WSGに対しては「単発的なものにするのではなく、これからの街づくりに結びつけるようにしてほしい」と激励的な意見も聞かれる。これは市長も「一過性のものとして終わらせてはならない」と認識している。
 一連の取材で得た市民の声や市がまとめた「サーフィンの街を実現するための意識調査業務報告書」の結果は客観的事実。行政の政策事業には税金という原資が投資される以上、市民はその執行過程を知る権利があり、市議会の役割も含め、行政には一定の説明責任も伴う。「役所に委ねる」という場合は別。
 ただ「極めて厳しい財政状況が予測される」「基金の繰り入れや地方債の借入などで財源を確保しなければ、行政サービスの停滞が避けられない」などと嘆く同市の行財政運営の行方には無関心でいられない。そうでなければ地方自治、住民自治こそが置き去りにされる。
(千葉敬也)
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