#宙三河プロジェクト vol.2
宇宙開発はいま楽市楽座の時代に?㊦
Flight Plan Original代表・勝間亮
前回、宇宙で今、一番熱い商売と期待されている分野として紹介した衛星で撮影した画像を分析し、必要な情報を取り出すサービス、宇宙データや衛星データ産業と呼ばれる分野。今回は衛星画像の活用事例を紹介します。
金融分野
これは分野からしていかにも儲(もう)かりそうです。現在、行われているサービスは、衛星画像から世界中にある石油タンクの備蓄量を観測し、石油の需給状況を投資家らへ情報提供するものや、海外の商業施設の駐車場の埋まり具合(日本だと立体駐車場が多いので難しいかも?)から売上状況を予測するもの、港湾のコンテナ数をカウントするものなどがあります。聞いているだけでお金の匂いがプンプンしますね。
農林水産
この分野に関しては、わが国でも取り組みが進んでいます。例えば、静岡県では「伊藤園」が主導した茶畑の茶摘み最適日予測が研究され、佐賀県でも佐賀大学の主導で高品質新茶の開発が行われています。
また、地域のお米の食味(タンパク質含有量)の把握や稲・小麦・大豆の育成診断など、さまざまな活用が検討されています。
水産分野では、漁場を探すため、衛星画像から海水温や潮流などの情報を読み解き、配信するサービスも実施されています。衛星データとの活用とは別に、"近大マグロ"で著名な近畿大学が宇宙空間からのマグロの観測にトライすべく研究を開始されたようで、こちらも進ちょくが楽しみです。
さて、衛星データの農林水産分野への応用まで簡単にお話をしましたが、お米の育成状況の管理までもが宇宙からできると思うと「宇宙って案外身近だなぁ」と感じてきませんか?
あーなるほど、確かにそうですね。「日本でもやってる」と言っても大学や企業でしか衛星データを入手できないなら、 結局、私たちには遠い世界ですよね。ですが、大丈夫です。実は宇宙データ、ものによってはタダで手に入るんです。
日欧を中心に宇宙データの活用促進によって宇宙産業の活性化を図るべく、データインフラの整備が加速しています。無償で利用できる環境を提供して商いを励行する、まさに今回のテーマの通り楽市楽座のような状況が整いつつあるのです。
こういった宇宙環境利用に関する情報や実際の衛星データを用いた話題の提供を紹介し、東三河にお住まいの皆さんに宇宙を”使って”もらい、どっぷり“宇宙沼”につかっていただくべく本連載を寄稿致します。
次回は実際に衛星データの取得サイトなどを紹介する予定です。