平和の尊さや命の大切さを学ぶ

2019/06/07 00:00(公開)
自らの戦争体験について話す海老名さん=松葉小学校で
自らの戦争体験について話す海老名さん=松葉小学校で
 豊橋市立松葉小学校(島内三都子校長)は4日、「豊橋いのちの日」の平和教育の一環として、落語家の故・初代林家三平の妻で、家族6人を東京大空襲で失ったエッセイストの海老名香葉子さん(85)を講師に「残された一つの命」と題した講演会を同校で開き、同校4~6年生と、蒲郡市立竹島小学校の5年生、保護者が平和の尊さや命の大切さを学んだ。
 1945(昭和20)年3月10日未明の東京大空襲の4日後、静岡県沼津市に学童疎開していた小学5年の海老名さんのもとに、2歳上の兄がボロボロの格好で、父、母、祖母、2人の兄、弟の死を知らせに来たという。また、海老名さんは、沼津での戦闘機の攻撃で自転車が倒れて血まみれになった人を助けられなかったことが「子ども心に悔やまれてならなかった」と声を振り絞って振り返った。
 優しかった疎開先の石川県のおばさんから「東京に帰ってちょうだい」と言われたり、食べ物がなく「お前なんか死ねばよかった」と言われ、「どうしてそんなことになってしまったのか」と思いながら、おなかが空いてフラフラになり、涙がポロポロあふれ出たこともあるという。
 「戦後も生きる戦いで、着る物も、学校もなくなって、みんな死んであんな思いだけはもう絶対にしたくない」と苦労を重ねたが、父の知人の三遊亭金馬に引き取られ、その後結婚、4人の子どもに恵まれ幸せに暮らしている。
 自身の戦争体験を風化させないため、東京都台東区上野に「哀しみの東京大空襲慰霊碑」「時忘れじの塔」を自費で建立し、毎年3月9日には慰霊の集いを行っている。
 「母ちゃんが、かよ子は偉い子だな、強い子だなといつも褒めてくれていると思うのが、私の元気の源」と話し、母恋しい「かよちゃん」に戻ったかのように、まなざしが優しくなった。
 会場では、児童らが聞き入っていた。
(小島幸子)
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