御津高でイチロー育てた中村氏講演

　豊川市御津町の県立御津高校（川澄誠校長）で13日、愛工大名電高校野球部の元監督で、元メジャーリーガー・イチローさんらを育てた中村豪（たけし）さん（77）による講演会が開かれた。
　愛知の誇る高校野球の強豪・愛工大名電の名将として何度も甲子園を戦った名将は、昨年現役を引退したイチローさんとのエピソードを中心に語った。
　プロでは努力を惜しまず輝かしい功績を残したイチローさんだが、中村さんは「自我の強い子で、興味のないことには顔をそむけてしまう」「中日ドラゴンズに入りたいと言っていて、寿司や牛タン、メロンが大好きで、シイタケが大嫌い」「先輩部員のいじめでシイタケと野菜が盛られ、泣きながら食べていた」などと明かした。
　また、イチローさんが冬に自主練習をしている時、チチローこと父・宣之さんが「息子が寒い思いをしているのに温まるわけにはいかない」と暖を取とうとしなかったことを挙げて「この親子は一心同体だと思った」。日本が誇るスター選手に上り詰めた教え子に「国民栄誉賞を二度も辞退した変わった子だが、彼と３年間一緒にやれたことを誇りに思う」と話した。
　また、福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督や、中日や楽天で活躍した山﨑武司さんら教え子のエピソードも紹介。難病や事故を克服した生徒の逸話も明かし「高校３年間は、土を敷いて種をまいて育てる時期。社会でそれぞれの花を咲かせて、自分らしくあればいい。人生のレギュラーを目指してほしい」とエールを送った。
　中村氏は吉良町在住。御津高校野球部の井澤和史監督が吉良高校で指導していた際に交流が生まれ、今回の講演が実現した。
（由本裕貴）