新型コロナウイルスの感染拡大により、子どもへの予防接種を控える親が増えているとして、県が注意喚起している。種類によっては前年同期比で4割近く接種率が下がったものもある。「自分がかからない」「もしかかっても症状が軽くてすむ」「まわりの人にうつさない」ためにも、早期の予防接種が必要だとしている。
県が今年2~4月の接種率を前年と比較したところ、生後12~24カ月に接種する「麻しん風しん混合ワクチン」(MR)1期の場合はほとんど変化がなかったものの、5歳以上7歳未満で接種するMRの2期の場合、4月には25%低くなっていた。また、「ジフテリア破傷風混合ワクチン」(DT)は11歳以上13歳未満で接種する2期が4月に39%下がっていた。
県は6月議会でも「市町村に依頼し、必要な時期に確実に接種を受けるよう保護者に啓発している」などと答弁している。
豊橋市健康政策課によると、市内でも同様の傾向が続いている。MRの2期、DTとも4月の数字は前年同月比で25%減。緊急事態宣言解除後の5、6の両月も同じ傾向が続いているという。
愛知県保険医協会のアンケート調査によると、5月診療分は、小児科医の45・5%が「前年同月より5割以上、外来患者が減った」などと答えた。保険医協会は「緊急事態宣言中は、病院での感染を警戒して受診を控える親が多かった」と分析する。予防接種は、子どもに何か症状が出ているわけではないので、病院にかかることを「不要不急の外出」と判断し、控えているケースが多かったようだ。
予防接種のタイミングは、感染症にかかりやすい年齢などをもとに決められている。生後2カ月から予防接種を受け始めることは、母体由来の免疫が減っていく時にかかりやすい感染症(百日せき、細菌性髄膜炎など)から赤ちゃんを守る意味がある。
豊橋市健康政策課によると、接種する医療機関は換気や消毒にくわえ、一般の患者と接触しないようにするなどの感染防止対策をしている。担当者は「決められた時期に接種することが重要。豊橋の場合、4月以降は新規のコロナ患者は発生しておらず、落ち着いた状況なので、子どものためにも必ず来てほしい」と呼び掛ける。県は、これまでワクチン接種ができなかった人向けに、まず市町村に問い合わせすることを勧めている。
県は「子どもの予防接種は、決して不要不急ではありません。まだ接種期間内の方は、お早めに接種を」と呼び掛けている。
【山田一晶】