教育変えるのは市民

2021/03/08 00:00(公開)
「教育は市民の手で」と語る前川さん=豊橋市民文化会館で
「教育は市民の手で」と語る前川さん=豊橋市民文化会館で
 元文部科学事務次官の前川喜平さんによる講演会が7日、豊橋市民文化会館であった。一般社団法人「みらい市民」の主催で東愛知新聞社など後援。新型コロナウイルス禍の教育について、文部行政の事務方トップを務めた前川さんが語った。約200人が聴き入った。
 タイトルは「アフターコロナで教育はどう変わるのか」。登壇してから「タイトルを今初めて聞いた」と話して笑いを誘った後「教育を変えるのは市民。『変わるのか』ではなく『どう変えるのか』を考えないといけない」と語りだした。
 天下り問題の責任を取って退官した後、自公政権への厳しい批判で知られる。幼稚園から高校までの教育は地方自治体の仕事であり「学校は文科省の下部組織ではない」と指摘。3年前、名古屋市の中学の授業で前川さんが講師に呼ばれた際、与党議員からの指摘を受けた文科省が中学校に対し講演内容などについて詳細な質問状を送りつけたことを挙げ「文科省には教育内容に口を挟む権限はない。不当な支配だ」と述べた。
 続いて、コロナと教育の問題について語った。昨年3月、突然の学校休校が始まり、当初は春休みまでだったはずが、最初の緊急事態宣言が解除される5月まで延長された。前川さんは小児科学会の昨年5月段階での報告などを元に「休校は科学的根拠がなかった。飲食店への休業要請が後になったのはおかしい」と批判した。
 さらに休校による悪影響として、給食が無かったことで栄養失調になった子どもがいたこと▽不登校の子どもが増えたこと▽自殺した小中高生が急増し、特に女子中高生は倍になったこと-を挙げ「休校で抑うつ状態になり、子どもの居場所がなくなったせいだ」と指摘した。
 一方で、「オンライン授業なら不登校の子も参加できる。学び方の多様化を進めるべきだ」と述べた。
 講演後の質疑応答で、会場からは活発な意見や質問が相次いだ。
【山田一晶】
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