最後の夏 一日でも長く

2021/05/15 00:00(公開)
最後の夏を迎える芝波田さん㊧と後輩の山田さん=いずれも新城有教館高校で
新城有教館高野球部の初代女子マネジャー芝波田さん

 開校3年目を迎えた新城有教館高校野球部で、ただ一人の初代マネジャー芝波田紗恵奈さん(3年)が、最後の夏に向け奮闘している。
 ボールやバット、ヘルメットを磨き、喉が渇いた部員には、すかさず飲料水を用意する。役割はそれだけではない。杉浦聡監督(37)が「彼女はキャプテンと同じくらい重要な存在」と信頼を置く理由に、自主性と情熱がある。
 野球一家に生まれ、中学のころから高校野球部のマネジャーを志望。少年野球チームに所属する弟の試合を見ながらスコアブックの付け方を勉強し、入学に備えた。2年前の春、男子部員11人と共に初代「有教館野球部」の一員として活動を開始。「部員が集まらなかったらどうしようと不安だった。みんなはいつも『ありがとう』と言ってくれるけど、こちらこそ、『高校野球に携わらせてくれてありがとう』です」と言う。
 チームを支えるため、自ら考え動く。兄から譲り受けたパソコンで、部員の打率や防御率を管理。カウント別の打率など細かいデータも分析し、監督と部員に周知する。部員の調子が上がったり、練習に身が入ったりと効果てきめんだ。
 後輩マネジャーの山田茉央さん(2年)には、あいさつやマナーなどを厳しく指導してきた。「すごく成長してくれたので、自分が卒業しても安心して任せられます」と笑顔で話す。
 ラミネート加工で手作りした夏の大会までの日数のカウントダウンボードが、部員らを鼓舞する。過去2年、夏はまだ勝てていない。芝波田さんは「一日でも長くみんなと過ごしたい」と勝利を期待する。
(由本裕貴)
自前のパソコンで選手たちの記録管理が欠かせない
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