帰国する元大学教授へ豊橋筆を贈る

2021/05/20 00:00(公開)
贈られた豊橋筆を持つクマーラ夫妻。左端が高木さん(提供)
贈られた豊橋筆を持つクマーラ夫妻。左端が高木さん(提供)
 スリランカ出身で、名城大学教授を務めたアーナンダ・クマーラ氏(名古屋市)が、近く母国に帰ることになった。クマーラ氏と25年来の付き合いがある豊橋在住の元小学校長、高木英太郎さんら旅仲間が餞別(せんべつ)に「豊橋筆」をプレゼントした。別れを惜しみつつも「向こうで日本文化を伝えてほしい」と期待する。
 クマーラ氏はスリランカ国立ケラニヤ大学出身。1983年に国費留学生として来日、東京工業大修士課程、博士課程を修了した。国連研究員を経て、2014年から名城大の経営学部教授、16年に外国語学部初代学部長に就任した。専門は経済政策、経営学、社会学、国際関係論など。
 社会活動にも尽力し昨年10月、開発途上国の人材育成や社会発展への多大な貢献が認められJICA理事長賞を受けた。定年後も大学に残っていたが、自国で若い人材を育てたい夢などがあり、帰国を決めたという。
 高木さんは元豊橋市立牛川小学校校長。約25年前に、豊川市小坂井町で生涯学習の一環で開いた講演会に携わった。その時の講師がクマーラ氏だ。アジアの現状について語ったクマーラ氏は、座学だけでなく現地の視察を提案。高木さんを含む有志がグループを作り、クマーラ氏のガイドでスリランカやインド、マレーシアなど、年1度のアジア視察旅行を重ねたという。
 最近はあまり会っていなかったが、帰国の知らせを聞いて仲間6人に連絡をとり、餞別を贈ることに。日本の伝統品を考え、「豊橋筆」が思い浮かんだという。
 有志5人でクマーラ氏宅を訪ね、夫妻に硯や日本の伝統技術の英語版パンフレットなどとともに豊橋筆のセットを手渡した。絵をたしなむ夫人は筆に特に喜んだという。コロナ禍で帰国日時は未定だが「現地の若者に筆を見せて、日本文化を伝えてもらいたい」と高木さんは話す。
【田中博子】
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