県が2024年に新設するスタートアップ創出と育成支援を図る中核拠点の連携先として、産学官でつくる「東三河スタートアップ推進協議会」が7日発足した。豊橋市駅前大通2の再開発ビル「エムキャンパス」で県との連携に関する覚書の調印式があった。地域が誇る「農業と食」を中心テーマに、継続的に起業家を生み育てる仕組みづくりを目指す。
県の支援拠点「ステーションAi」は、通信大手ソフトバンクが運営する事業目的会社として名古屋市鶴舞公園内に24年10月に設置する。地域に眠る資源を生かし、国際的に通用する革新的企業を継続的に生み出す拠点づくりとともに、世界から投資家を呼び込める環境づくりを目指す。
東三河地域は県内初のパートナー拠点。県事業は名古屋圏から遠州を事業エリアとするため、名古屋と浜松をつなぐ役割が期待されている。
推進協は事務局のサイエンス・クリエイトをはじめ、豊橋市や豊橋技術科学大学、地元主要企業など産学官の八つの企業と団体を会員に発足。すでに独自の支援活動に取り組んでいる会員企業の関連組織を「支援機関」として部会を置く。
各部会で農業と食をテーマとしたシリーズイベントを年度内に開き、起業への機運を高める。
具体的には起業家との交流をはじめ、必要な知識や先端技術などを幅広く学べる場の提供、ビジネスにつながる地域課題の掘り起こしやビジネスプランコンテストなど13イベントを開く。
推進協の設立総会に続き開いた調印式では、大村秀章知事と神野吾郎会長が覚書を交わした。
大村知事は「拠点から世界的に通用する企業を生み出したい。連携を目指す海外の大学や支援機関からも、東三河の農業と食への関心を示すところがある。『化学反応』で過去に例のない機能も期待できる」と語った。
神野会長は「食や農業に関しては都道府県レベルの潜在力がある。県の支援拠点との連携で地球規模で企業や人材を誘致したい」と期待した。
【加藤広宣】