豊橋市議会12月定例会は26日、計画の是非で揺れている「多目的屋内施設(新アリーナ)と豊橋公園東側エリア整備運営事業」について、二つの住民投票条例案を上程した。だが、推進派の議案は撤回。反対派の議員は賛成少数で否決された。住民投票は実施しないことが決まった。
計画に賛成する自民などの提案は条例成立から投票までを60日以内とした。新しい豊橋と共産などが示した議案は120日以内だった。
質疑で坂柳泰光氏(自民)は、住民投票で判断材料として必要な情報の公平性を挙げた。長坂尚登市長が契約解除を実行した場合、事業者に支払う可能性がある損失補償金額がはっきりしない点などを市にただした。
その中で、整備運営に必要な総額230億円の事業費負担などが推進派への批判材料とされる一方で「長坂市長が公約通りに契約解除した後の損失補償が不明瞭で具体的な説明もない」とし、賛否を議論する上で公平性と公正さを欠く状態だと指摘した。
さらに、アリーナ建設の中止と公園内での既存施設を再整備するなど代替案や対応策が示されていない点も踏まえ、住民投票をする客観的で公平公正な情報提供が可能かを質問した。田中久雄文化・スポーツ部長は「公園東側エリアの再整備は契約解除後、改めて武道場やテニスコートなどを検討する代替案を示すことになる」とした。
公平で公正な情報提供について質疑が交わされる中、自民が緊急動議で議案を撤回。自民の山本賢太郎氏は質疑と答弁を踏まえ、損失補償額が不明瞭で説明もしていない▽現時点で契約解除後の代替案と対応が示されていない▽有権者への客観的で公平で公正な必要情報の提供が困難―という理由を挙げた。
反対派の条例案も賛成少数で否決された。
このほか、自民と公明から緊急動議で「市議会の議決に付すべき契約に関する条例」の改正案が提出され、賛成多数で可決された。内容は、現行では市長が持つ契約解除の権限について、議会の決議事項とする条項を追加するもの。
豊橋と共産は緊急動議での提案と即日採決への疑問を投げ掛けた。反対理由として「議会の権限のみを強化する」「地方自治法に記載がなく、法律を超える条例になってしまう」と指摘した。
長坂市長は閉会後の取材で、可決した条例案の再議について「地方自治法の趣旨に即していない場合もあるのではないかと認識がある。情報や知識がない中、問題の有無など不明点が多いので法的精査が必要だ」との考えを示した。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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