蒲郡市八百富町のカーテン製造「サンローズ」は、市内のデザイナー5人と協力し、工場で生じる端切れ生地をアップサイクルしたウエディングドレス「en dress(エンドレス)」を作った。取り組みが評価され、一般社団法人「サステナブル経営推進機構」主催の「第7回エコプロアワード」の奨励賞に選ばれた。
1967年創業。カーテンは1日1000枚以上を生産している。年間40㌧の端切れ生地が生じる。創業から生地を有効活用しており、グループ販売店で詰め放題にして販売したり、再ペレット化したりしている。
一方で、刺しゅうやビーズ、スパンコールなどの異素材が混入した生地はデザイン性から人気が高いが、再利用が困難として月間100㌔を廃棄していた。営業部の榊原功二課長は利活用を考え、循環経済を取り入れた都市「サーキュラーシティ」実現に向けた2022年の市のイベントに出席した。
この中で、エシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さんと出会い、廃棄される生地の活用について話すようになった。エバンズさんから「SNSで呼び掛けるのはどうか」との提案を受け、23年9月にSNSでアイデアを募った。その結果、ウエディングドレスの案が多く、開発することにした。
地元の結婚式場とコラボしたいと思った榊原さん。蒲郡クラシックホテルの安川貴也統括支配人に相談すると、取り組みへの賛同と「循環経済に取り組む蒲郡で作り上げた蒲郡産のドレスはすてきだと思う」と意見をもらった。榊原さんはサーキュラーシティ実現と「繊維のまち」を盛り上げ、新しい繊維産業としてドレス産業を創出しようと、昨年11月に市内限定で制作に関わりたいデザイナーを募集した。
アパレルに興味がある5人が集まった。12月17日から今年2月、同社でエバンズさんや世界で活躍するアップサイクルコスチュームデザイナーの谷公美子さん、エシカルウエディング協会の野口雅子さんの協力でワークショップを開いた。
5人は谷さんを中心に作製方法などの指導を受けながら、デザインを考え、型紙を作るなど全て手作りで大人から子ども用のドレスと和装を含め全8種類を完成させた。和装と子ども用衣装の制作に関わった同社企画部の原野晴香さんは「刺しゅうの端切れ生地を使い、誰もが着たくなる着物風のドレスに仕上げました」と話した。
昨今、環境面への配慮から、新たな廃棄物が発生する結婚式に抵抗感を持つカップルが増えているという。クラシックホテルや地元の式場と連携し、廃棄物ゼロのサーキュラーウエディングプランを提案していく。現在、市内のレンタルドレス会社やロープ会社などと協力してパーティードレスやバッグ、巾着袋を制作中。今後は端切れ生地からの製品開発も進めていくとしている。
エコプロアワードは環境に配慮したサービスなどを表彰する目的で18年度から続く。サンローズは、端切れ生地をドレスに生まれ変わらせたこと、地方都市のサーキュラーエコノミーへの取り組みが優れているとして評価された。12月に東京ビッグサイトで開催する「エコプロ2024」で表彰される。また、ブースを出展し全国に発信していく。
榊原さんは「端切れ生地で作れるものは無限だと思います。ドレスや巾着袋などいろんな物を作っていきたい」と笑顔で話した。ドレスについての問い合わせは専用ページかサンローズ(0533・68・1151)へ。
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愛知県蒲郡市生まれ。2020年、地元蒲郡が好きで東愛知新聞社に入社。同年から蒲郡担当、市政や地域行事、文化など全般を取材。ドローンを使って東三河の名所を空撮したルポ「大二朗記者の空からの訪問」を不定期連載。これまで、三河大島や三河国分尼寺跡、日出の石門などを空撮してきた。ドローン技術向上のため、国家資格「一等無人航空機操縦士」を24年に取得。読者の皆さんが楽しんでもらえる記事と記憶に残る写真を掲載できるよう、日々、頑張っていきます。
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