豊橋市の長坂尚登市長が中止を掲げる新アリーナ事業は、関連事業費を盛り込んだ補正予算案が24日の市議会予算特別委員会を通過した。長坂市長は公約の解約解除は維持しつつ、予算執行については「今後の動向を踏まえる」と明言を避けた。予算成立を前に市スポーツ協会は25日、事業継続を求める要望書を長坂市長に提出。長年の課題解決が進まない点に不安と懸念を示した。
24日の予算委は一般会計当初予算案に対し、自民など4会派が予算組み替え動議を提出した。債務負担行為を設定した今後の事業見込額が予算計上されておらず、基本設計費などを盛り込むべきだと指摘した。
市は即日対応を理由に25年度補正予算で追加提案した。市債と財政調整基金から2億6100万円を旧豊橋球場の解体撤去費などに充てる案が賛成多数で通過した。
新アリーナ解約を方針に掲げる市長から、整備関連予算案が提案されたことで、賛否両派の市議らは質疑で市長の真意をただした。
斎藤啓氏(共産)の質疑では、市長が公約で解約手続きを進めつつ、予算執行する判断基準について住民投票の可能性を挙げた。その実施条件については「条例で内容が変わるため、あくまで結果を尊重」とするにとどめた。
一方、坂柳泰光氏(自民)は予算計上するからには執行が前提との考えから「なくなる可能性がある事業の予算を計上できるのか」と指摘。長坂市長は「補正はその都度すべきだ。動議で求めがあったので計上した」と答弁した。さらに「可決すれば一日も早く執行すべきではないか」との問いには「今後の動向次第」と明言を避けた。
予算執行の見通しがはっきりしない中、市スポーツ協会の佐藤元英理事長らは25日、長坂市長に要望書を提出した。
佐藤理事長は、武道場の老朽化や総合体育館の利用過密化などの課題を踏まえ「整備計画を起点に、他のスポーツ環境改善策につながる。関係する多くの競技者やその家族らも望んでいること。立場の違い、考えのすれ違いを覚悟で再考を求めたい」と訴えた。
長坂市長は「計画中止の考えは変わらない。住民投票があるなら、その結果を尊重したい」との姿勢を変えなかった。
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愛知県田原市出身。高校卒業後、大学と社会人(専門紙)時代の10年間を東京都内で過ごす。2001年入社後は経済を振り出しに田原市、豊川市を担当。20年に6年ぶりの職場復帰後、豊橋市政や経済を中心に分野関係なく取材。22年から三遠ネオフェニックスも担当する。静かな図書館や喫茶店(カフェ)で過ごすことを好むが、店内で仕事をして雰囲気をぶち壊して心を痛めることもしばしば。
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