豊橋市大岩町の事務用機械器具卸「ミカワリコピー販売」は4月、來本彩香社長が就任した。前社長の安形哲也氏は会長。今年11月には創業82年を迎える。幅広いソリューションを提供する「トータルオフィスプランナー」だ。その本社を訪ねた。
三河地域の企業を支えるBtoB商社として歩みを進めてきた。オフィス環境の最適化を通じて地域産業の発展に貢献している。ICT機器の販売とメンテナンスからネットワーク構築、セキュリティー対策、ホームページ制作、ドローン導入支援まで手掛ける。
今年度から、中小企業のデジタル化を支援する「DX学校」に参入する。2020年に創業した「ディグナ」(東京都港区)が全国展開する。政令市を除いて、1自治体に1校。ミカワリコピー販売が豊橋校を担当する。
「DXが大事なのは分かるが何をすればいいのかわからない、という中小企業経営者が多い」と安形会長。IT人材を採用すればいいのだが、人手不足で人件費は高騰している。であるならば、自社でIT人材を育てるしかない。老子の言葉に「授人以魚 不如授人以漁(魚を与えるより、魚の釣り方を教える)」がある。単なるツール提供ではなく、自社でDXを推進できる力の育成を重視。地域経済の活性化と日本の未来を目指す。
DX学校では、ITの基礎、クラウドツールの活用、IT導入計画の立案などの方法を学ぶ。オンライン学習と対面授業を組み合わせたハイブリッド型で、受講者は「IT導入士(初級)」の資格を取得できる。指導して終わりではなく、講師(IT導入診断士)がその企業の課題分析からツール導入、運用までサポートする伴走型であることも特徴だ。
一方、同社は社屋を公開し「ライブオフィス」事業にも取り組んでいる。取引先などに見学してもらい、働きやすい環境とは何かを考えてもらう。「オフィス家具は安ければ何でもいいという時代ではなくなった」と安形会長は言う。
1階の執務スペースを案内してもらった。暖色系の照明が広々とした室内を照らす。LEDを導入したことがあるが「目が疲れる」との声で変更した。談笑している社員もいれば、脇目もふらずにパソコンのキーボードをたたいている社員もいる。
画一感がない。社員の席を固定しないフリーアドレス。外部とオンライン会議をする専用スペース社員同士の打ち合わせコーナーなど、用途が分かれる。少し座面の高い椅子は、立った相手と同じ目の高さで話ができるよう設計されている。長時間座っても疲れない人間工学に基づいた家具となっている。これにより、社員の定着率を高め、就職希望者に「ここで働きたい」という実感を持ってもらう。
ミカワリコピー販売は、多様なメーカーのオフィス用品をそろえ、複合機やパソコン、家具の販売に加え、ネットワーク構築やセキュリティー対策を提供できる。オフィス課題のワンストップ解決を売りに、営業、技術、事務の3職種が連携し、顧客一人ひとりに寄り添った提案をする。
安形会長は、2代前の社長の教え「売り上げを増やせばいい、もうかればいいという会社ではない」を信じ、地域と一体となった発展を目指してきたと語る。「お客さまと共に成長し、社員一人ひとりが成長し続ける」が経営理念。「三河地域のオフィスを元気にする」を使命とする。
百年企業を目指すという來本社長は「会社が長く続いてきたことに対し、支えてくれた皆さまに恩返ししたかった。DX学校やライブオフィスはその形の一つ。地域をみんなで盛り上げて元気にしたい」と話した。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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