高齢化で伸び悩む改修率 東三河の木造住宅耐震化

2024/02/03 00:01(公開)
倒壊の危険度も増す旧耐震基準の木造住宅=石川県輪島市で(豊橋市提供)
 能登半島地震から1カ月が過ぎた。深刻な被害を受けた石川県輪島市や珠洲市では古い住宅の倒壊なども目立った。南海トラフ地震が心配される東三河でも木造住宅の耐震化は重要課題の一つだが、高齢化もあって古い住宅が多い市町村では改修率が伸び悩んでいるようだ。
 市町村では10年ごとに策定する「建築物耐震改修促進計画」で、耐震化が必要な1981年以前に建てられた木造住宅の改修を促している。95年の阪神大震災を機に耐震化が注目され、2000年以降は各自治体で無料耐震診断や耐震改修工事費の補助を制度化する動きも活発化した。
 改修には最小限の仕様で190万円近くかかるといい、補助制度で120万円程度を賄える。能登半島地震を受け各市町村には、耐震診断や改修の問い合わせが増えているという。
 豊橋市は20年度現在の耐震改修率が91%で、促進計画では25年度に95%まで引き上げる目標を掲げた。豊川市も22年度で82・4%と高く最終30年度は解消を目指す。
 蒲郡市と田原市はともに6割超を7割超まで引き上げたい考えだ。精密診断を受けると補助を増するなど、最高140万円の手厚い補助を売り物にしている。
 一方、新城市は20年度の約55%から30年度に66・7%に、設楽町は21年に45%だが25年度に見直しを検討する。東栄町は22年度で26・5%。本郷地区を重点的に改善する。豊根村は昨年3月で31・3%、25年度目標は90%だが毎年見直しが続く。
 全市町村に共通するのは高齢化だ。各担当者らは「家の後継者がおらず、諦めも混じる世帯がより色濃くなった」という。豊橋市建築物安全推進課では「単身高齢者は相続の点から、離れて暮らす家族と話し合ってほしい」と呼び掛けている。
【安藤聡、加藤広宣】
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