3月18日開幕の「第97回選抜高校野球大会(センバツ)」に、昨秋の明治神宮大会を制した横浜高校が出場する。6年ぶり17回目。田原市出身で主将の阿部葉太選手(2年)は「夢が一つかなった」と喜んだ。
父一彦さん(46)が取り出したのは、中学卒業時にクラスメートに宛てた寄せ書き。「すごく楽しかった」「また会おう」など別れの言葉が並ぶなか、阿部選手は「2025年春・夏 NHKでます」と宣言した。甲子園の中継のことだ。昨年末に色紙を見つけ、阿部選手の有言実行ぶりに驚いたという。「夏だけではなく春も意識していたのは驚いた。センバツ出場は偶然ではなく、ひたむきに野球に向き合ってきたことが結果につながった」と喜んだ。
中学硬式野球の審判をしている一彦さんの影響で、阿部選手は田原東部小学校1年から軟式チームに所属、家ではテレビで野球を見た。一彦さんは「葉太と、智弁和歌山や大阪桐蔭など強豪校の試合を見ていた」と話す。
小学5年の夏、甲子園球場を初めて訪れた。阿部選手はスタンドからの絶景に「ここが甲子園か」と言い、うれしそうな表情で観戦していたという。一彦さんは「球児のプレーを実際に見て、甲子園への憧れがより高まったと思う」と言う。
転機は愛知豊橋ボーイズ時代。チームの先輩で横浜出身の立花祥希さんが練習を訪ね「甲子園に出たい気持ちはすごく大事だが、どこのチームを選ぶかも重要」とメッセージを残した。「そのとき葉太の横浜に行きたいという思いが強くなったのでは」と一彦さん。県内の強豪校を勧めたが、2年冬に「横浜に行きたい」と告げられた。
阿部選手は横浜進学が決まった後、夏の甲子園を訪れ、先輩のプレーを目に焼き付けた。「自分も絶対にここでプレーする」と誓った。甲子園が夢が目標に変わった瞬間だった。
横浜では1年夏からベンチ入り。秋からは、俊足巧打を武器に1番中堅手で定着した。2年夏の県大会から主将に抜てきされ、秋の神宮大会で27年ぶりの日本一。夏の県大会が2年連続で準優勝に終わったショックを乗り越えた末の結果に阿部選手は「誰よりもここに懸ける気持ちが強かった。優勝できてほっとした」と語った。
優勝後、一彦さんから「ここまで連れてきてくれてありがとう」と言われたという。「野球を教えてくれたのは父。いつも通り、チームを支えるプレーをし、横浜が甲子園で勝ち上がっていく姿を見せたい」と意気込んだ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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