豊橋市出身の作家、新藤元気さんによるミステリー小説「爆弾魔 科学捜査研究所物理係」が先月、宝島社文庫から発売された。昨年4月に発刊されたデビュー作、第22回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉作品「科捜研・久龍小春の鑑定ファイル 小さな数学者と秘密の鍵」に続くシリーズ第2弾。元岐阜県警の「科学捜査研究所(科捜研)」での勤務経験を生かした内容となっている。
新藤さんは1993年生まれ。静岡大学、筑波大学大学院を経て、岐阜県の科学捜査研究所に勤務した。現在は関東在住で半導体メーカーに転職している。昔から話を書くこと、絵を描くことが好きで、約4年前から本格的に小説の執筆を始めた。
自身の経験を元に書き上げたデビュー作「科捜研・久龍小春の鑑定ファイル 小さな数学者と秘密の鍵」では、神奈川県の児童養護施設における火災を調べていた特殊犯捜査係の熊谷と科捜研物理係の久龍がその先に広がる謎に迫る内容。読みやすい文体とテンポの良いストーリー展開で、地元書店では長期間人気ランキングに名を連ねていた。
第2弾の「爆弾魔」は爆破予告文が届いた横浜のロケット開発企業の旧工場で爆発があり、火災原因調査のスペシャリスト久龍が、特殊犯捜査係の熊谷、灰島とともに現場調査に乗り出すが、第2、第3の爆破が起き…という話。豊橋の一部書店では特設コーナーが設けられるなどファン待望の1冊となっている。
新作の構想について「1作目を作り上げてから考えました。話を考えるのは好きなので、産みの苦しみみたいなものはなかったです」と新藤さん。「とにかく兼業は時間がないので、空いているときに少しでも書き進めなくちゃという焦りしかなかった。本業との両立がとにかく大変で、望んでやっていることなんですが休みがなかなか取れないのが一番しんどかったと思います」と兼業作家の苦労を語る。
新作について「本作品は『警察科学ミステリー』を掲げていますが、自分の弱さと向き合って、現実と戦おうとする人たちにエールを送ることが裏テーマだったりします。何かに悩んで、あと一歩踏み出せずにいる人に特に読んでほしいと思います」とアピール。今後は「需要が続く限り科捜研モノを描いていくつもりですが、機会があればSFなどのサイエンス要素が含まれるミステリーも描きたいなとぼんやり思っています。他の作家さんにはない僕の強みを生かせそうな気がするからです」と話す。
文庫判、304㌻。850円(税込)。全国の書店またはオンラインで。
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愛知県豊橋市生まれ。大学卒業後、校閲記者として入社。1年後に報道記者に転身した。2020年から報道部長。芸術、福祉、経済・奉仕団体などを担当する。趣味は、かなりジャンルに偏りのある読書と音楽鑑賞。思考のそっくりな一人娘と趣味を共有している。
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