【連載】「剣理人倫 我外皆師」〈31〉「しほたれ草臥れたるは疵なり」

2025/03/08 00:00(公開)

 春本番です。花粉症の方は苦しんでいます。センサーの性能が悪い私でも鼻がむずむずしています。今年は昨年比で1カ月も早く飛散が始まり、量も多いそうです。何事も成長はうれしいが、昨夏の猛暑の影響でスギの雄花が例年以上に成長したことが一因みたいです。もう少しの辛抱ですと言っても人によって発症の時期が違いますので声かけも難しいです。国民病ですから忍耐の一言です。

 

 前回のコラムは老け話題でしたが、最近知人から言われて驚いたのは猫背になっていない?と言われたことです。寒さから無意識に背が丸まっていたと思います。気をつけていても体は正直ですね。意識と水は低いほうへ流れるといいます。常日頃から姿に勢いをつけることを心掛けたいです。

 

 姿勢が悪かったりポケットに手を入れて歩くと転んでけがをしたり、とっさの時に手が使えなくて危険です。武士は襟首袴腰といって、姿勢を良くして他に範を示していました。それにあわせて剣道家は懐手を嫌い戒めてきました。なぜなら坂本龍馬が寒さから懐手をしたまま応対する油断から、初太刀で致命傷を負ったからです。

 

 その坂本龍馬が右手を懐に入れている有名な写真があります。桂浜の銅像とあわせて教科書や歴史書などで多く取り上げられているので見たことがあると思います。あれは長崎で撮られた写真ですが、その懐の中で持っているものは何かと昔から歴史ミステリーになっています。

 

 現在有名な説は短銃か万国公法という法律書、そして寺田屋事件で負った傷を見せないようにしているの三つです。なかには懐中時計とか胃潰瘍でいつも腹を擦っているなどの説もあります。授業中生徒に聞いてもマンガとかスマホじゃね?と奇をてらう発言というよりは、発想が広がらないことに不安を感じました。一部の生徒からはその人誰ですか?という珍問もありました。天上の龍馬から「懐の中はどうでもいいことぜよ」と叱られそうですが、大切なのは龍馬のように常に生き生きとした精気と陽気を発散させることですね。

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