「格上相手に本当によくやった」。豊川に1対6で敗れた後のラストミーティングで、国府の山本洋介監督は、涙を流す選手たちに静かに語りかけた。
新チームになって秋の東三河予選は1次リーグ敗退。そこから、選手で話し合い一度敗れた者が再び勢いを盛り返す「捲土重来(けんどちょうらい)」をスローガンに掲げ、走攻守と一つひとつの動きを見つめてきた。だが、すぐには結果が出ず、春は県大会出場を逃した。練習でできていたはずのプレーが出せず、敗れた試合もあった。
そこで、今年度から就任した山本監督らは「8割の力で戦おう」と呼び掛けた。その真意を「手を抜けと言ってるのではなく、全力でやると流れや周りが見えなくなる。それは野球じゃないよと伝えたかった」と語る。正捕手で主将の浅井竜聖(3年)は「理解するのに時間がかかったが、試合展開を見たり、投手を考えながらリードしたりするのを意識するようになってからだんだんと分かってきた」と振り返る。
この試合では6点ビハインドの七回、豊川・北田真心(3年)の二塁打になりそうな打球を左翼手の内藤心汰(2年)が冷静に好返球。二塁でアウトにして勢いに乗ると、最終回は「無得点では終われない」とチームが奮起。浅井の左越えの二塁打で好機をつくり、1点を返した。最後は敗れたが、チーム関係者は「豊川はコールド勝ちを狙っていたと思うが、それをさせなかったのはみんなの頑張り」と話していた。
豊川の長谷川裕記監督は「最終回、1点を返されればすぐに流れは相手に行く」と左翼手に八回で降板した中西浩平(3年)を入れ、もしもの場合に備えていた。「8割の力で戦う」。敗れはしたが、山本監督らの思いを選手たちは体現していた。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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