「第107回全国高校野球選手権愛知大会」は23日、2球場で準々決勝4試合があった。東三河で唯一残る豊橋中央は、杜若に6対1で快勝した。決勝進出をかけて25日午後4時半から岡崎レッドダイヤモンドスタジアムで愛工大名電と対戦する。
杜若と対戦した豊橋中央は三回、2死三塁で成瀬の中前適時打で先制した。だが五回に1死一、三塁からスクイズを決められ、同点とされる。八回、先頭の近藤が左前打で出塁すると、成瀬が送り、砂田が投前への内野安打で1死満塁の好機。ここで松井がボール球のチェンジアップを左前に運んで逆転。続く中立、高山、髙橋の3連続適時打でこの回一挙5点を奪い、突き放した。先発高橋は、最速145㌔の直球を軸に、自己最多の17奪三振で完投勝利を果たした。
昨夏は準々決勝で敗退した豊橋中央。その相手は今夏と同じ杜若。会場も岡崎だった。燃えないはずはなかった。試合前、萩本将光監督は「2年間のリベンジだぞ」と当時から主力だった松井蓮太朗(3年)や髙橋大喜地(同)らに投げかけた。
前回3対8で敗れ、萩本監督は「人生で初めてどん底を味わった」と語る。松井は一つ前の西尾戦で三塁走者と交錯し、右足首を骨折。離脱を余儀なくされた。「僕が離脱したせいで3年の夏を終わらせてしまった」と悔いた。髙橋は1番右翼で先発出場したが無安打、登板機会もなかった。「何もできなかった」と泣きじゃくった。主将の砂田隆晴(同)は打撃の調子を落とし、スタンドから応援していた。
この試合、髙橋は自慢の直球がさえわたった。これまでは中継ぎが中心だったが、「自分は一番投げていないエースなんで」と、余していた力をぶつけた。中盤には9連続奪三振も記録した。
小学校4年からバッテリーを組む松井は、髙橋の力投にバットで応えた。八回、1死満塁で回ってきた。前の打席に空振り三振を喫し、萩本監督から「考えすぎだぞ」と助言を受け、打席に入った。「自分が打つしかない」。2ストライクと追い込まれた3球目、ボール気味のチェンジアップを左前に運んだ。「髙橋の投球に応えられて良かった」。一塁上でこん身のガッツポーズを繰り出した。
次戦は愛工大名電戦。「このメンバーと甲子園に出たい」と意気込んだ。
八回は「この回絶対に来るぞ。死に物狂いで戦いなさい」と呼び掛けた。あの回で5点を取れたのはあの子たちの力だし、「お前ら本当にすごいな」と思った。髙橋には「完封してこい」と送り出した。無駄な四球から1失点してしまったが、彼本来の投球だった。
7月23日は結婚10周年で、その日に勝利できたのはとてもうれしい。妻には「甲子園に」と言われているので、一戦必勝でやっていきたい。
次戦の愛工大名電は投手力がある。昨秋に負けているのでリベンジを果たしたい。
立ち上がりは動きが固かったが、豊橋中央らしい強さを見せることができた。「行けるぞ」と手応えを感じてきている。次も勝っていきたい。
▽準々決勝
○…岡崎…○
豊橋中央
001000050|6
000010000|1
杜若
(豊)髙橋ー松井(杜)長塚、近藤、西脇ー北本
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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