障害持つ子の壁高く 全国で医療ケア児への看護師や支援員不足

2025/08/25 00:00(公開)
小林さん(手前)と正英さん=豊川市内の自宅で

 障害を持つ子が学校で過ごすために欠かせないのが、看護師や支援員。看護師は食事、排せつ、バイタルチェックなどを、支援員は授業でのサポートなどを受け持つ。県内では支援が必要な医療的ケア児582人に対して、看護師は267人しかいないという。中学から高校へ進級する時の壁もある。

 

 豊川市に住む高校1年の小林千夏さんは、2歳の時に脊髄を痛めて首から下の体が動かなくなった。話すことは普通にできるが、食事は口まで食べ物を運んでもらわなければならず、排せつも看護師の補助が必要になる。授業では、教科書やノートをめくってもらうなどの支援がいる。鉛筆は口にくわえて使い文字を書くが、渡してもらう必要がある。

 

 特別支援学校に通えば環境は整っているが、主治医の勧めもあり、健常者と同じ環境で学ぶことを決断。地元の小中学校へ通い、この春に県立御津あおば高校へ進学した。

 

 小中学校では市教委が看護師や支援員を確保してくれた。さらに進級や中学への進学では、小林さんの状況を引き継いでくれ、看護師や支援員が変わる、中学へ進学するなどがあってもスムーズにできた。

 

 高校への進学で、この引き継ぎがなくなり、そのうえ、看護師や支援員も保護者が探す必要があった。高校は試験があり、合否が決まるのが2月末。そこからでは間に合わず、当初は母の美希さんが学校まで行き、千夏さんをサポートした。6月にやっと支援できる体制が整った。

 

 高校への進学に一つの壁があった。小中学校は市教育委員会、高校は県教委の担当になる。また合格が決まってからでないと、正式に看護師らへ依頼ができないハードルもあった。

 

 文部科学省によると、一昨年5月1日現在で幼稚園、小中学校、高校などでサポートが必要な医療ケア児1万764人に対して、ケアできる看護職員らは9690人と全国でも不足している。地域偏在も大きいという。保護者が学校まで付き添っているケースは全体の52%あり、負担も大きくなっている。

 

 また学校の設備にも課題がある。御津あおば高校にはエレベーターがなく、小林さんが階を移動するときは大変だ。施設の改善が望まれる。

 

 小林さんは「将来は私でもできる、人を助ける仕事がしたい」と張り切る。父正英さんと母美希さんは、「医療的ケアが必要な子の支援を充実してほしい」と願う。

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竹下貴信

1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。

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