名古屋市の「IGアリーナ」で日本最高峰の総合格闘技大会「RIZIN」名古屋大会が28日に開かれる。オープニングファイトに登場するのが、豊橋市出身の石坂空志(くうし)選手(19)=クボジム=。相手は山木麻弥選手(18)。石坂選手にとって念願の「RIZIN」デビュー戦だ。
石坂選手は父に連れられ、保育園の年長児のときに柔道を始めた。父は「よく体当たりしてきて、体が強いなと思っていた」と語る。小学1年からはブラジリアン柔術にのめり込み、寝技の魅力に引き込まれた。4年からは空手やキックボクシングを学び、基礎体力と幅広い技術を積み重ねていった。すぐに「待て」がかかる柔道より、次第に自由度の高い柔術に夢中になった。
中学時代には複数のジムを経験し、高校に入ると本格的にMMA(総合格闘技)を始めた。打撃を磨き、アマチュア大会でも結果を残し、17歳のプロデビュー戦で初勝利。「自信になった」と振り返る。RIZIN出場が夢だった。中学生の頃、テレビで見た年末の大会で、朝倉未来、海の兄弟が歓声を浴びながらフィニッシュを決める姿に心を奪われた。「自分もいつかあの舞台に」と憧れを抱いた。
プロ転向後、さまざまな強敵と戦うなかで、地方にとどまっていては大舞台に届かないと感じていた。打撃、寝技、投げでそれぞれトップレベルになる必要があった。総合格闘家の久保優太さんが弟子を募集するプログラムがあると知った。「ここで挑戦しなければ前に進めない。尊敬する久保さんの下で学べるなら、絶対に勝負するしかない」
1次試験は約100人が受けた。書類審査やシャドーボクシングを経て、2次試験は13人に絞られた。スパーリング、質疑応答、面接。ジム代表の久保健司さんと優太さんを前に、夢をありのままに語った。「受かったな」と確信したという。石坂選手を含め5人が合格し「ようやくスタートラインに立てた」と実感した。
12月、正式にクボジムへ。寮生活を送りながら、午前はジムのフィットネス会員の指導、午後は練習、夕方からは焼肉店でのアルバイトをしている。生活は楽ではない。途中で辞めた仲間もいた。しかし「夢のためなら辞めたいと思ったことは一度もない」と断言する。
学生時代から柔術を得意としていたが、久保ジムでの学びはスタイルを大きく変えた。「構えは強さを表す。速そうなスポーツカーの構え、重厚なジープのような構え。それが選手の性能を決める」。久保優太さんの言葉に感銘を受け「自分はストライカーだ」と自覚するようになった。さらに、シドニー五輪レスリング代表の宮田和幸さんが運営する「BRAVE GYM」に週3回通う。各団体で活躍するトップランカーとスパーリングを重ねる。
常に父に感謝する。「小さい頃から格闘技をやらせてもらい、今の習慣を作ってくれた。無理やり道場に連れて行かれたこともあったけれど、それが自分を支えている」と語る。
RIZINで対戦する山木選手は3勝3TKOと力強い打撃が武器の選手。「いい試合をして必ず乗り越える。夢が現実になる今こそ、自分の爆発力を見せたい」と宣言する。打撃で相手を倒すつもりだ。
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1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。
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