”三足のわらじ”で世界へ 田原のプロサーファー長谷川兄弟 

2025/09/09 00:00(公開)
漣さんと将一さん、悠さん(左から)=田原市内で

 田原市在住の兄弟サーファー、長谷川悠さん(15)と漣さん(13)が注目されている。漣さんは史上最年少でロングボードのプロ資格を取得した。サーフィン、柔術、スケートボードを三つ同時にこなす「三足のわらじ」で体をつくり、世界トップサーファーを目指す。

 

弟・漣さんはロングボード史上最年少プロ

 

 小学校入学前後から始めた。プロサーファーの父将一さん(54)が車に乗せ、千葉や田原、ときには種子島の海に連れて行った。「自然と触れ合い、波のうねりを体で感じる。それが人生を豊かにする」

 

 漣さんは7歳でバリ島の大波に挑み、死の恐怖を味わった。「気づいたら数百㍍沖に流された。怖かったがやるしかないと必死に岸まで泳いだ」と振り返る。だが「日本の波より水圧が強く、気持ち良かった」と競技にのめり込むきっかけになった。

 

 サーフィンにはショートとロングがある。現在兄弟が世界に挑んでいる「ロングボード」は2㍍超の板を操り、波の上での技やスタイルを競う。15~20分間で複数の波に乗り、そのうち高得点の2本の合計で勝敗が決まる。力強いターン、しなやかなノーズライド、波を読む力が要求される。

 

 課題は「経験値」と将一さんは語る。「大きな波の方が点数が高い。乗る波を読み違えないように、いろいろ経験を積んでいる段階」と話す。

 

 6月に千葉県内であった「井戸野浜オープン」ロングボードの部で、プロに混じって悠さんは2位、漣さんは4位となり、プロ資格を得た。「いつも練習している波でチャンスだった」という。一方「どんな波にも対応できるようになりたい」とレベルアップに余念がない。

井戸野浜オープンでの表彰(提供)

柔術、スケートボード、総合格闘技の”三刀流”で育成

 

 将一さん独自の育成法がある。柔術とスケートボード、総合格闘技でサーフィンに必要な筋力や心肺機能などを鍛える。朝から夜まで練習漬け。学校には通わず、午前はサーフィンとスケートボード、午後は柔術や総合格闘技の練習で、計7~8時間に及ぶ。休日は全国各地の海で練習や試合に参加する。4年前から続けている。

 

 一般的にはウエートトレーニングやストレッチで上半身を鍛えるが将一さんは「これだけでは本物の体はつくれない」と断言する。「幼少期に技術が高くても、体作りが不十分で上のレベルで戦えなくなる選手は多い。二人は成長は遅いかもしれないが、技術が発達してきた時に、長い時間をかけて作った体で世界に挑める」と期待する。

 

 柔術で数十分間組み合いを続けることで得られる心肺機能が、サーフィンで大きな波にのまれながらも強いターンし続ける際の「呼吸力」の強化につながる。スケートボードは技の幅や練習時間がサーフィンの数倍。将一さんは「足腰の粘り強さにつながるので、スケボーは有効」と話す。

 

 現在、二人はロングボード「Sリーグ」のS2に所属し、S1昇格を目指している。9月下旬にある「湘南茅ケ崎オールジャパンプロ」で上位に入れば、昇格は近づく。漣さんは「『魅せるサーフィン』で、世界王者になりたい。ロングだけではく、ショートでも世界と戦えるように」と話す。悠さんは「決めるところは決めるサーフィンで日本トップレベルに」と意気込んでいる。

柔術で心肺機能を鍛える
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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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