新城の名倉さんが県無形文化財に認定 石硯保持者としては県内初

2025/09/14 00:00(公開)
認定証を持つ名倉さん=新城市門谷で

 新城市門谷で硯作家の名倉利幸さん(71)=雅号、五代名倉鳳山=と、作品の石硯(せきけん)が県無形文化財(工芸技術)に指定された。硯の分野での指定は県内初で、全国でも珍しい。認定を受けた感想などを聞いた。

 

 鳳来寺参道で生産される石硯。江戸時代に成立したと伝わる。「当地で産出する天然石材を用いつつ、芸術性の高い作品づくりを展開している」と県文化材保護審議会が評価した。

 

 1953年、旧鳳来町生まれ。県立旭丘高校美術科、東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業後、四代鳳山の父に師事。97年の第44回日本伝統工芸展で奨励賞を受賞し、国産の硯が初めて文化庁買上げとなった。2003年に五代を襲名した。10年に市無形文化財「鳳来寺硯制作」の保持者として認定された。

 

 鳳来寺山麓では硯作家は名倉さんを含めて2人いたが現在では1人となった。「筆書きが鉛筆書きになり、書写の授業でも硯は量販品が使われる時代だ」と語る。「先代が残してくれた素材を生かして制作を続けたい」と述べた。県無形文化財に認定され、真っ先に亡き先代に報告した。

 

 硯制作部門で、都道府県の無形文化財認定は2002年の山口県が初だった。近年では23年3月に山梨県で認定されている。

 

 「当面は実用と芸術の五分五分で作品を作りたい」と話す。長男の達了さんは静岡大学教育学部准教授。彫刻と硯を研究する。「今後のことは本人と話し合って考えたい」とも述べた。

硯の制作に励む
工房の「鳳鳴堂硯舗」
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安藤聡

浜松市出身。大学卒業後、母親の実家があった豊橋市に住む。スポーツを皮切りに、蒲郡市政担当15年を経て現在新城市と北設楽郡を担当する。映画ロケの炊き出しからご当地グルメとなった「ガマゴリうどん」など、まちぐるみで取り組む姿を取材するのが好き。

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