【連載】米の現場から㊥ 生産意欲を高める仕組みを

2026/07/28 00:00(公開)
 
 

 価格上昇により注目を集めてきた主食用米は年明け以降、値段や販売形態などの変化が続く。今年産の栽培も進み、早ければ8月後半には新米の収穫が始まる中、静岡県西部や豊橋市の売り場や生産の現場を訪ねた。

 

 棚に並んでも消えていた米袋が、スーパーの売り場に戻ってきた。米どころの定番をはじめ、静岡や愛知の地元産米も並ぶ。銘柄によって異なるが、価格は5㌔3000~4000円台の表示が目につき、店舗によっては特売も復活、昨年とは違った光景だ。

 

 豊橋市内で事業展開する「ニューライフフジ」の店舗の一つ「たか丘店」では6月下旬、1日限りのスペシャル価格を設定した長野「風さやか」が登場した。品種特性などをPOP(店内広告)で紹介、値札には大きく表示した本体価格が3190円、消費税を含めても3500円を出せばおつりがくる。常務で営業本部長を務める武田清司さん(52)は「毎日食べる米こそおいしいものを届けたい。お値打ち価格のチャンスを生かし試してほしい」と語る。

 

 2024年に発生した米の不足感を機に、同社は調達方法をがらりと変えた。「米がなくなる事態が起こるとは考えてもいなかった」(武田さん)が、卸から調達する従来の仕入れでは販売量を確保できなくなった。産地から直接仕入れるルートを開拓しようと相手先に直接連絡し、出向いて交渉を重ねた。結果、石川をはじめ秋田、長野、岡山の産地との結びつきが実現、他店との商品の区別化につながった。

 

 湖西と浜松の両市で店舗展開する「かきこや」(湖西市)は、25年産米が出回り始めた昨秋時点で確実に調達できる量は前年実績相当、特売を打てずにかつてない販売環境となった。産地銘柄米や地元農家の契約栽培米に加えブレンド米や政府備蓄米なども取り扱い対応した。

 

 年明け以降は一転、仕入れ値が下がった。このため販売価格を見直し、昨年見送っていた特売も再開、ただし主力は従来の10㌔から5㌔に変わった。社長の飯田治幸さん(56)は6月下旬の時点で「価格は最も高かった時期に比べると1000円以上、安くなっている」と説明する。値ごろ感はあるが、販売進度が4月以降、鈍化傾向にあるという。他店でも米が並ぶ中「急いで買う必要はないという消費者心理が働いているのではないか」(飯田さん)とみる。

 

 「定番としてなくてはならない」(飯田さん)「欠かせない商品」(武田さん)として位置づけられる米だが、「かつての5㌔2000円以下の価格に戻っては農家はやっていけない」(武田さん)との声も上がる。飯田さんも「米価が下がった場合、農家の生産意欲をそいでしまうのではないか」と懸念。「作り手のやる気につながる仕組みができないものか」とも話す。

スペシャル価格を打ち出した商品も並べた売り場=豊橋市で
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米どころの銘柄も取りそろえた売り場=湖西市で
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