【競泳】小島・沼田が世界ジュニアで快挙 豊川高ライバル、約束の1・2実現

2025/10/23 00:00(公開)
ライバルの小島選手㊨と沼田選手(提供)

 世界ジュニア水泳選手権(8月19~24日、ルーマニア・オトペニ)で、豊川高校2年の小島夢貴と沼田頼人の両選手が男子個人メドレーで大活躍した。400㍍では沼田選手が優勝、小島選手が2位。200㍍では小島選手が高校新記録で2位、沼田選手が3位と表彰台を独占した。中学からしのぎを削ってきた2人が、日本競泳界に新たな風を吹きこんだ。

 

 400㍍個人メドレー決勝。前半は小島選手らが先行しレースを進めたが、後半は両選手のデッドヒートとなった。終盤に自由形が得意な沼田選手が引き離し、4分11秒37でゴールした。沼田選手は「前半は夢貴に付いていって、後半に勝負するプランだった。思い通りのレースだった。タイムはまだまだだが、夢貴に勝てたのはうれしかった」と喜んだ。一方の小島選手は大会前に腰を痛め、万全ではなかった。タイムも自己記録から約3秒遅かった。「泳げるか怪しい状況でいつもだったら諦めていたが、大会前に『一緒にワンツーフィニッシュしような』と約束していて、譲れなかった」と明かした。

 

 中学時代から2人はライバルだった。3年時の全国中学水泳競技大会では、小島選手は200㍍と400㍍の個人メドレーで2冠。沼田選手はともに2位だった。「常に背中を追ってきた。目標であり最高のライバル」と沼田選手は言う。

 

 豊川高のコーチに2011年世界選手権銅メダリストの堀畑裕也さん(35)が在籍し、二つ上には今年の世界選手権4位の西川我咲選手(東洋大学1年)がいた。沼田選手は「指導者の存在が大きかった」と言い、小島選手は「西川選手と一緒に泳いで世界レベルの選手になりたかった」と話す。

 

 1年時はともに苦しんだ。小島選手は400㍍のタイムが入学時は4分18秒47。インターハイや国民スポーツ大会など主要大会で好結果が残せず、その年は4分15秒台と伸び悩んだ。沼田選手も400㍍で中学時代の自己記録を更新できずにいた。「環境が変わってこれでいいのかと迷いながら泳いでいた」と話す。ある日西川選手の練習が目に入った。「一つひとつの練習に遊び心があり、楽しんで泳いでいた。自分は考え過ぎていたのかも。自分も楽しもう」と思い直した。だんだんと本来の力強い泳ぎが戻り、今年5月の「イトマンオープン2025」では、4分12秒10と自己記録を更新した。

 

 小島選手はライバルの急成長に触発された。「今までほとんど負けたことがなかっが、3秒差をつけられた。『夏に絶対に抜かすぞ』と火をつけてくれた」と感謝する。練習の姿勢を見直し、最後の数十㍍まで気を抜かず泳いだ。今年7月の東海高校総合体育大会の400㍍で4分9秒38の世界ジュニア記録で優勝。日本選手権の2位のタイムを上回ったほか、日本人選手歴代4位の好タイムだった。

 

 小島選手の課題は背泳ぎと平泳ぎの強化。「ここを耐えれば世界の上位と戦える」と分析する。沼田選手は自由形が得意で後半の追い上げが武器だが、背泳ぎに苦手で「前半に離されてしまう」のが課題だ。

 

 小島選手は来年9月のアジア大会、28年ロサンゼルス五輪でのメダル獲得が目標。「国際大会を経験して世界のトップで戦うことの厳しさを味わいたい。アジア大会で決勝進出」と意欲を見せる。沼田選手は「夢貴が持っている高校記録を超え、A代表に選ばれ世界の舞台にチャレンジしていきたい」と意気込む。

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北川壱暉

 1998年浜松市生まれ。昔からの夢だった新聞記者の夢を叶えるために、2023年に入社した。同年からスポーツと警察を担当。最近は高校野球で泥だらけの球児を追いかけている。雨森たきびさん(作家)や佐野妙さん(漫画家)らを取り上げた「東三河のサブカルチャー」の連載を企画した。読者の皆さんがあっと驚くような記事を書けるように日々奮闘している。趣味はプロ野球観戦で大の中日ファン。

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