豊川市の豊川稲荷で72年ぶりの御開帳が11月に行われるが、「今のままでは成功しない」の声をよく聞く。何が課題なのか。まとめてみた。
昨年12月28日の日曜、門前商店街を歩いてみると、シャッターが閉まった店もあった。
関係者によると、店主が年を重ねて閉店。店を開けることはできないが、そこに住み続けている人もいるという。電気や水道などの設備が、店舗部分と住居部分が共用になっており、貸し出しが難しいというのだ。そもそも住みながら店舗部分だけ貸すのは、区分けが難しく現実的に厳しい。
関係者の一人は「店を貸し出して、他のエリアに住むよう勧める時もあります。しかし、そこに住む権利は誰にでもあり、無理強いできない。難しい課題です」と話す。また参拝客が少ないシーズンは休日が増える店もある。
新商品を投入するなど、頑張っている店があるほか、昨年末には豊川稲荷の目の前に5店が入る商業施設「門前テラス縁福」が、すぐ近くには居酒屋や飲食店など5店が入る「いなり門前テラス」がオープンした。
この関係者は「多くの人に来てもらうには、シャッターが閉まった店があってはいけない。参拝客が少なくても、店を開ける必要もある。それができなければ、伊勢神宮のおかげ横丁や犬山の城下町のように、多くの人が常に訪れる場所にはならない」と指摘する。
「豊川稲荷で御開帳があるのを、知りませんでした」と話すのは、名古屋市に住む女性。話題になることもないという。
御開帳が成功するには、東三河だけでなく、名古屋、東京、大阪など遠方からの参拝客に足を運んでもらう必要があるが、そもそも御開帳があることを知らなければ、来ることすらできない。
東三河にある曹洞宗の寺の住職は「近年の豊川稲荷は、参拝客が減少傾向にある。正月の初詣客も昭和の時代と比べて大きく減っている感じだ」と話し、「再び多くの人が訪れるようになってもらうには、御開帳は大きなチャンス。テレビ局やSNSで有名な人たちとタイアップして、御開帳があることを全国に広めないといけない。そのための費用を惜しんでは駄目だ」と指摘する。
「豊川稲荷に来ても、近くに行きたい観光地が少ない。特に鉄道など公共交通で訪れると、参拝後に次の場所に行くのは難しい」と話すのは、観光業界の関係者。また地域住民の一人は「豊川稲荷と一緒に訪れたのが、野菜を販売する農協のグリーンセンターなどだと聞いたことがある。これでは寂しい」と話す。
車で訪れれば、竹島、ラグーナ、舘山寺、三井アウトレットパーク岡崎などへ周遊も可能だが、鉄道だと複数を巡るのは難しい。公共交通を使った周遊観光の開発も必要になりそうだ。
多くの関係者は、「豊川市の観光にとって、御開帳は千載一遇のチャンス。このチャンスを生かして、豊川稲荷を中心に東三河を周遊する観光客を増やしたい」と意気込む。「課題があるのも事実だが、豊川稲荷は東京でも知られている寺院。多くの人に来てもらえるよう、全力で準備を進めたい」と張り切っている。
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1973年生まれ、豊川市出身。建設業界に勤務後、96年に入社。2022年から豊川市を担当している。趣味は美術館巡り。ポッドキャストでラジオを聞くのも好きで、さまざまな番組を楽しんでいる。
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