30年ぶりとなる豊川用水の異常渇水。冬季の水不足は、解消が見通せないでいる。影響を受ける現場から報告する。
豊川用水が全面通水した1968年以降、その恩恵を受ける東三河地域と静岡県湖西地域は、全国有数の農業地帯に成長した。キャベツ、ブロッコリー、トマトなど全国的に高いシェアを誇る品目が多いが、少雨による渇水が懸念されている。豊橋市でキャベツを栽培する花井啓良さんに、影響を聞いた。
農業産出額は愛知県が約3207億円(全国8位)、静岡県が約2245億円(同15位)で、両県にまたがる豊川用水地域だけで約1696億円を占める。特に田原市は、市町村別で2014~19年まで連続全国1位を記録した。
キャベツは、全国トップクラスの作付面積と生産量を誇る。冬キャベツは関東、関西市場の約6割が愛知県産とされ、その大部分を豊橋と田原の両市が担っている。
就農10年目の花井さんは、富久縞町と神野新田町にある計5・5㌶の畑で家族と通年栽培を行い、年間5万ケース以上を関東中心に出荷している。
この時期は、8月下旬から9月上旬に定植した冬、春キャベツの収穫期だ。午前8時頃から、寒い空気の中でナイフを使って丁寧に刈り取り、台車へ積み上げていく。
「今収穫しているものは少し遅れ気味だが、例年通りの出来栄えだ」と花井さん。夏場の少雨時には、水はけの良い畑にスプリンクラーを設置したが、今は特別な対策はしていない。成長したキャベツは保水力が高いことも影響しているという。
一方で、別の畑のキャベツでは、新葉の先端が枯れる「チップバーン」と呼ばれる生理障害が出ていた。花井さんは「原因はカルシウム不足などさまざまだが、この畑は水はけが良いため乾燥が大きな要因。外側が枯れるだけならいいが、中に広がると商品価値がなくなる」と、土や作物の状況に気を配る。
「暖かくなると水が必要になってくるので悩んでいる」と話し、地域に広がる田畑を見回す花井さん。「この辺りでは3月下旬から稲の植え付けが始まる。そのタイミングで水がないと大変なことになる。少し前に定植が始まったタマネギも乾燥に弱い」と、他作物への影響も危惧する。
土壌乾燥への対策は考えているが、最終的には降雨に頼る部分が大きい。コスト面も課題だ。「乾燥に強い資材の情報収集などを進めながら、対策を検討していきたい」と語った。
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1988年生まれ。三重県津市出身。
地元で数年間地域紙の記者を務めた後、某ゲーム会社で企画の仕事などを経験。新型コロナウイルス禍で紆余曲折あって豊橋市で再び地域紙の記者に。地域の人に地域の良いニュースを伝えたい。
趣味は一口に言うとゲーム。著名なタイトルをすべて網羅しているわけではないが、コンシューマーはファミコン時代から「ドラゴンクエスト」などを親しんでいる。ジャンルは問わず、環境としてはオンライン、カード、ボード、テーブルトークなど手広くプレーしている。
好きなものは甘いもの。犬派。写真は実家の猫。
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