豊橋市出身の「マジシャンもっさん.」さんが、世界一を目指している。18歳でプロデビューし、一時は引退したものの、再びこの世界に戻ってきた。今年3月に国内最高峰のコンテストで優勝したもっさん.に豊橋市内でインタビューした。
現在32歳で名古屋市を舞台にYouTubeでも活動している。桜丘中学、桜丘高校卒。14歳の時、「新トランプ手品」という初心者向けの本に出合い、やってみると面白かった。もともと、友人と組んで漫才を披露するなどのエンターテイナーの素養がある。翌日、教室で披露すると「ええ!」「もう1回やって」と大受けした。「マジックって本当にすごいんだな」と実感し、この道に進むことにした。
高校生ですでに頭角を現し、コンテストで入賞した。17歳で若手の登竜門「チャレンジャーズライブ2011」に出場し、最年少優勝した。高校を卒業後にプロとなり、国内最高峰の「THE JAPAN CUP 2012」(ジャパンカップ)で準優勝、アジア大会の「FISM Asia Championship 2014」で準優勝、世界大会「FISM World Championship 2015」で5位入賞を果たすなど、世界的なマジシャンになった。あの「Mr.マリック」も絶賛したという。
だが「マジシャンはアスリートのような生活をしています。この先も続けられるのかが不安になった」として2015年に引退した。名古屋市で広告代理店のサラリーマンになった。
5年後、プロマジシャンを再開する。その理由は「マジシャンとして立てる舞台が少ないため、実力があるのに辞めていく人が多かった。だから、マリックさんのように1人でマジック界を底上げし、立てる場所を増やしていけば、そこに後輩を入れることができるからです」と語った。
やがてあちこちから声がかかるようになり、2022年にはその年に最も活躍したマジシャンに贈られるジャパンカップの「ベスト・クローズ・アップ・マジシャン」に選ばれた。前年に出版した、プロ向けに秘密を開示する理論書的な本が評価された。
10年ぶりのコンテスト復帰戦となった25年のジャパンカップは3位に終わった。「絶対1位だろうと思っていた。自分のマジックが10年分ぐらい、トレンドから遅れていたのに気づかなかった」と振り返る。そこで自分のスタイルをすべて捨て、最新のトレンドを採り入れ、3月のジャパンカップで見事優勝した。
夢は来年のアジア大会優勝と、世界大会優勝だ。「マジックは誰が見ても本当に楽しい。多くのマジシャンが活躍できるようにしたい」と語った。決めセリフは「これがプロマジシャン」だ。
マジシャンもっさん.の取材に先立ち、YouTubeの公式チャンネル「もっさん劇場」を何度も見た。クローズアップマジック動画は中毒性がある。次から次へと再生してしまい、気づいたら1時間以上が経過していた。
指先の動きによどみがなく、極めて自然な動作で不可能を可能にする。また、心理学や構造的なロジックを突き詰めた独自の技法を多数考案している。
さらにカードとコインの両方を使いこなす珍しい二刀流だ。なぜ珍しいかと聞くと「コインマジックは、本当に手の技がないと成り立たない。反対にカードマジックは手法があって難易度的には入りやすい。コインマジックの難しさで挫折する人が結構いる」とのことだった。
インタビュー前に、マジックを見せてもらった。トランプは黒と赤のカードがある。4枚ずつを適当に選び、テーブルの上に赤黒を交互に挟んで伏せる。ここで口上が始まる。「ドレッシングは水と油で出来ています。よく振った後、時間がたつと分離します。ではこのカードはどうでしょうか」。もっさん.が人差し指で8枚重ねたカードの真ん中を押す。そして開くと、赤4枚、黒4枚に分離していた。3枚ずつでやっても同じ。眼の前40㌢で起きていることなのに見破れない。
そして極めつけは、冒頭の8枚を除いた44枚の残りのカードだ。テーブルの端に寄せられ、もっさん.は触ってもいなかった。置く前に記者がシャッフルした。ところがそのカードも、赤22枚と黒22枚に分離していた。思わず変な声が出た。
中央キー局のテレビ出演歴も多数ある。「古里のメディアには出ていなかったので、取材してもらってよかったです」と話した。
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1967年三重県生まれ。名古屋大学卒業後、毎日新聞社入社。編集デスク、学生新聞編集長を経て2020年退社。同年東愛知新聞入社、こよなく猫を愛し、地域猫活動の普及のための記事を数多く手掛ける。他に先の大戦に詳しい。遠距離通勤中。
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